俳優の生田斗真が、劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』に主演することが29日、明らかになった。

  • 生田斗真

    生田斗真

同作は、劇団☆新感線3年ぶりの本公演で、かつ劇団旗揚げ39周年の"サンキュー公演"第1弾。奥州・奥華一族の元にかくまわれていた遮那王牛若を死なせてしまったために、牛若の代わりとなり"源九郎義経"として生きることになった奥華玄九郎国衡(生田)が、偽りの身分を盾にしつつ、常にポジティブシンキングと機転とで数々の苦難を軽々と乗り越えていく。

2017年春から2018年大晦日まで約2年間、客席が360°回転するというアジア初の劇場・IHIステージアラウンド東京(豊洲)でのロングラン公演を行っていた同劇団だが、今回は久しぶりに「回転しなくなる」公演に。いのうえ歌舞伎は2016年の『乱鶯』以来、劇団の座付き作家・中島かずきによるゼロベースからの完全新作は2014年の『蒼の乱』以来となる。

"奥州三代"と"義経黄金伝説"をベースにしながら、冥界というファンタジー要素も盛り込み、笑いたっぷり、殺陣、アクション満載の王道エンターテインメントとなる同作。奥華の巫女長で義経(玄九郎)の義理の母・黄泉津の方役にりょう、義経(玄九郎)の弟・奥華次郎泰衡役に、新感線初参加となる中山優馬、現世と冥界を繋ぐ不思議な力を持つ大陸渡りの歌歌い・静歌役に初舞台となるシンガーソングライター・藤原さくらが決定した。

さらに常陸坊海尊役は、5回目の新感線出演となる"準劇団員"山内圭哉、遮那王牛若役は『蒼の乱』以来2度目の参加となる早乙女友貴、武蔵坊弁慶役はダブルキャストで橋本じゅん(大阪・金沢・松本公演)、三宅弘城(東京・福岡公演)が演じる。『メタルマクベス』disc1(2018年)で退団以来21年ぶりに劇団公演に参加した橋本さとしも、生田・中山の父親約である奥華秀衡役で出演。源頼朝役の粟根まことを始めとする、劇団員らが舞台を彩る。

大阪公演はフェスティバルホールにて2019年3月8日~21日、金沢公演は金沢歌劇座4月2日~7日、松本公演はまつもと市民芸術館にて4月18日~21日。さらに2020年2月の東京公演(TBS赤坂ACTシアター)、2020年4月の福岡公演(博多座)を予定している。

中島かずき コメント

いのうえ歌舞伎の完全新作、ゼロベースからの書き下ろしという意味では『蒼の乱』以来、そして鎌倉時代の物語を書くのはこれが 初めてになります。今回モチーフに使ったのは、奥州藤原三代と源義経との関わりです、この物語では"奥州奥華(おうが)"と書き換えていますが。奥州の人たちは蝦夷の末裔なので、今回は僕が長年書き続けている北関東から東北を舞台にしている作品群『阿弖流為』『蒼の乱』『髑髏城の七人』『吉原御免状』の間を埋める作品だったりもします。義経が藤原秀衡を頼って奥州に逃げ込んでいた史実をもとにしていて、加えて義経にはもともと替え玉説もありますからね。

生田斗真くんで"偽義経"というところがミソで、考えついた時には「これだ、イケる!」と思いました。基本的にキャラクターは全部あてがきですが、斗真くんにあてがきするのはこれが 初めて。振り切っちゃったほうがそれゆえの悲しさ、健気さが出るはずなので、彼が新感線に対して想ってくれている気持ちに応えたくて、腕によりをかけました。ここまで書いて怒られないか? と思いつつも(笑)、僕なりに斗真くんの良さを活かして書いたつもりです。

いのうえひでのり コメント

回はまず斗真くんありきで、初めてのいのうえ歌舞伎の主役でと考えた時に、これまではチャラいキャラクターのほうが多かったので、もうちょっと真面目にというかがっつりと時代劇に取り組んでもらおうと思ったんです。彼の場合は芝居の基本をウチの劇団で身につけたようなところがあって、"準劇団員"いわゆる"新感線TRIBE"の中ではメイン役者のひとりでもありますから(笑)。脱ステージアラウンド第1弾の主役としても、とても力強い存在。どちらかというと"受け"の芝居をすることが多いようですが、今回は珍しくその逆、ツッコミまたはボケの芝居を楽しんでもらえることと思います。

そして僕としてはとにかく観客席を回すことを考えなくていいので、そういった意味では久しぶりに通常業務に戻る感覚もありますね。とはいえ、今回の台本もこれまた大変で、ある意味"義経伝説"であり、『リメンバー・ミー』でもあり、主役を張れるくらいの個性派たちがゾロゾロ出てくるので『アベンジャーズ』でもあり(笑)。『偽義経』のはずなのに? と思われるでしょうが、観ればきっと「ああ~、そういうことか!」と納得していただけるのではないかと思います。

生田斗真 コメント

劇団☆新感線には『Vamp Bamboo Burn~ヴァン! バン! バーン!~』以来、3年ぶり4回目の参加になります。実は、いのうえ歌舞伎に主演という形で出させていただくのも、中島さんの書き下ろしに出させていただくのも初めてなんです。源義経の偽物の役どころになりますが、歴史上の人物を描きながらも僕が属するチームのパートは意外と自由にやれそうだとも思っていて。あまり型にハマり過ぎず、舞台上で縦横無尽に飛び回りたいですね。

それにしても、基本的に新感線のみなさんとご一緒するときはちょっと頭の弱い キャラクターになることが非常に多くて(笑)。今回もどうやら正義感に溢れた、憎めないおバカちゃん的な役になりそうです。そしてたっぷりと立ち回りがあり、歌があって、ほんの少しのラブがある、いかにも新感線らしい作品になるんじゃないかと予想します。本格的な時代劇なので着ているものが重かったり暑かったりしますが、お客様にはこちらが苦労すれば苦労する分、楽しんでいただけるはずですからね。今回も大いに苦労をして、大いにヒイヒイ言いながら、がんばりたいと思っています。