日立製作所は、SNSやテレビ、新聞といったメディア情報、ブログ・口コミ情報、コールセンターの会話記録などから、顧客の声を約1,300種類の話題・感情・意図に分類・見える化する「感性分析サービス」を、10月1日から提供すると発表した。価格は個別見積。

本サービスは、徳島大学発のベンチャー企業の言語理解研究所の感性分析AIであるABスクエアを活用し、本田技研工業と共同開発したもの。

テキスト化されたメディア情報などから企業や商品に対して抱いている感情を精度に分析し、各種業務システムと連携し、分析した顧客の声を売上実績や見積りといった業務データとかけ合わせることで、ブランド戦略に限らず、販売・生産計画や商品開発、リスク対策などに活用することができるという。

例えば、「好意的」「中立」「悪意的」の3大分類と、さらに細分化した全81種類の中から感情を特定できる。

分析したデータは、感性に関する情報だけでなく、単語間の関係性を示す情報もタグ付けし、利用者は単語一致ではなく話題一致で検索することが可能。

例えば、原文に「ホームラン」と記載があると、「野球」のカテゴリに分類するため、「野球」で絞り込んだ場合、原文に「野球」と記載がなくても、「野球」に分類された一連の情報を検索結果に表示。 また、分析結果を分かりやすく表示する検索ビューアを用意し、使いやすい画面設計を実現したほか、業種や業務別などお客さまのニーズに合わせて画面のカスタマイズも対応可能だという。

  • 「感性分析サービス」の概要図

今回サービス提供開始にあたっては、分析に必要なデータを高精度に絞り込むフィルタリング技術を日立が新たに開発し、言語理解研究所のAIエンジンとともにサービスの中核技術として適用していく。

今回開発したフィルタリング技術は、収集したデータから関連性の高い単語を機械学習し、絞り込み条件を自動更新する技術で、流行語や造語、専門用語など絞り込み条件に予め登録されていない単語であっても、出現頻度や単語間の係り受けの関係から分析対象になるか否かを判断する。

フィルタリング技術により、収集したい単語に対して関連性や出現頻度が高いキーワードを機械学習し、予め登録しているフィルタリング条件を自動更新するなど、データの絞り込み精度を継続的に高めていく。

本サービスは、データの収集・分析・可視化から、絞り込み条件の自動メンテナンスといった運用保守までをトータルでサポートする

なお、サービスの提供開始に先行し、2018年4月より、Hondaの広報・マーケティング活動に適用し、新車発表やイベント出展の反響分析として、イメージや感情を、車種別やトピック別など、より精緻に可視化し、分析やレポート作成に要する業務負荷を軽減できるなど一定の効果を得たという。

今後、日立はHondaとの取り組みを日立のデジタルソリューション「Lumada」のユースケースとし、コンシューマー向け事業を展開している企業を中心に幅広く展開していく。