須田景凪。写真は東京・WWW X公演の様子。(Photo by Taku Fujii)

須田景凪が8月25日に東京・WWW X、9月2日に大阪・Shangri-Laにてワンマンライブ「須田景凪 LIVE 2018 “Dolly”」を開催。この記事ではShangri-La公演の様子をレポートする。

2013年からボカロP“バルーン”として活動し、昨年シンガーソングライターとしても活動を始めた須田。自身2度目となるライブのチケットは争奪戦となり、会場には多くのファンが駆け付けた。雨音のSEが鳴る中、バラの花の映像を背にステージに現れた須田は「街灯劇」でライブをスタート。クールな表情でギターをかき鳴らしながら、儚さの中に強さを感じさせる歌声を響かせる。「須田景凪です。今日はよろしくお願いします」と歌声の勢いとは裏腹に控えめな声で短く話し、2曲目の「メーベル」へ。シーケンサーを用いたピアノサウンドや電子音と生バンドの演奏とが重なり合い、独特の世界観を作り上げた。

須田はバルーン名義で発表した「雨とペトラ」のセルフカバーも交えながら、矢継ぎ早に楽曲を披露。再び雨音が流れ、いつのまにか閉じられていたバックスクリーンの幕が開くと、映像クリエイター・アボガド6による映像が流れる。そんな中始まった「Cambell」では物憂げな雰囲気のバラードと映像とが融合し、曲の世界観がより丁寧に描かれた。ここからはゆったりとした曲が続き、どこか心の叫びのようにも感じる須田の突き抜けるような歌声が、観客をどんどん引き込んでいった。

須田は「(フロアとステージとの距離が)すごい近いですね。こんなに近いと思わなかった。でもすごく楽しいです、ありがとう」と来場者に感謝。そしてサイケなギターリフから始まる「鳥曇り」、バルーンの代表曲である「シャルル」といったナンバーを披露し、会場のボルテージを一気に引き上げていく。サポートメンバーである堀正輝(Dr)が四つ打ちのビートを刻み、モリシー(G /Awesome City Club)とボカロPの有機酸(B)も飛び跳ねながら楽しそうに演奏していた。

手拍子を巻き起こした「ポリアンナ」、続く「レド」で会場の盛り上がりはピークに。ツアータイトルとなった楽曲「Dolly」について「『須田さんって優しそう』『真面目そう』って言われることがあるんですけど、優しいっていうよりも、人間としてダメなんじゃないかとか、真面目っていうよりも愚かなんじゃないかとかって思うときが週4日ぐらいあって。そういう矛盾はあるんだけども、そう言っていても仕方ないので、無理やりでも前を向いていこうという気持ちで書いた曲です」と説明し、その「Dolly」を歌い上げて本編を終えた。鳴り止まないアンコールの声に呼ばれてステージに舞い戻った須田はまずサポートメンバーをそれぞれ紹介。そして「また絶対大阪でライブします」とファンと約束し、「密」をしっとりと歌い上げてライブを終えた。

須田景凪 LIVE 2018 “Dolly” 2018年9月2日 Shangri-La セットリスト

01. 街灯劇
02. メーベル
03. idid
04. 雨とペトラ
05. Cambell
06. シックハウス
07. アマドール
08. レディーレ
09. 鳥曇り
10. シャルル
11. ポリアンナ
12. レド
13. Dolly
<アンコール>
14. 密