地球外生命体エボルトの地球侵略を食い止めるべく、桐生戦兎と仲間たちが命を懸けた戦いを挑む連続テレビドラマ『仮面ライダービルド』は、今まさに最大のクライマックスを迎えようとしている。ビルド、クローズ、グリス、ローグの4大ライダーとエボルトが激闘する直前、第45話と第46話の中間に位置するストーリーこそが、『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』だという。

ここでは、映画でも大活躍を見せる戦兎の頼もしい仲間、仮面ライダーローグ/氷室幻徳を時にダンディに、時にユーモアたっぷりに演じてきた水上剣星がインタビューに登場。『ビルド』で過ごした濃密な1年間を振り返ると共に、映画での活躍について、大いに語ってもらった。

水上剣星(みかみ・けんせい)。1984年生まれ。東京都出身。ファッションモデルから俳優に転身し、テレビドラマ『東京DOGS』でデビュー。『BECK』(2010年)『デスノート Light up the NEW world』(2016年)、『不能犯』(2018年)をはじめとする映画作品や、テレビドラマ、CMなどで幅広く活躍。『仮面ライダービルド』では仮面ライダーローグに変身する氷室幻徳を熱演し、『ビルド』Blu-ray各巻に収録されているスピンオフドラマ『ROGUE』では主演を務めている。撮影:大塚素久(SYASYA)

――『仮面ライダービルド』の初期では東都政府首相補佐官であり、謎の組織ファウストのリーダー、そしてナイトローグとして戦兎たちの前に立ちはだかる"敵"として現れ、今では仮面ライダーローグとしてビルドやクローズ、グリスと力を合わせてエボルトに立ち向かう頼もしい仲間に転身した幻徳……ですが、美空や紗羽のリアクションの厳しさや、一海に「ヒゲ」と呼ばれたり、さらには第40話以降の独特すぎるセンスで決めた「私服」が話題を集めたりと、最近はわりと周囲から「遊ばれている」感じがしますよね。

いやあ、僕としてはそういう扱いをすごく楽しんでやらせていただいていますよ(笑)。特に違和感なく、というのはアレですけれど、最初のころの幻徳のキャラで、1年ずっとやっていくのもなかなか難しいというか、しんどい部分がありましたから。ちょっと「遊び」が多めに入ってきたというのは、個人的には楽しいことなんです。

――それこそ、初期編では東都の制服を着ていましたし、あのころは私服姿が見られるなんて思ってもいませんでした。

首相補佐官という、なかなか敷居の高いポジションにいた人物でもありましたからね。

――センスが独特すぎて、美空から思いっきり「ダサッ!」と言われても、自分ではどこがダサいのかまったく理解していない、という幻徳の私服をめぐるやりとりは最高に面白かったです。なぜ、幻徳の私服があんなふうになってしまったんでしょうか。

そんなこと、僕のほうが聞きたいですよ(笑)。ただ、後半の『ビルド』ではどんどんストーリーがシリアスな方向へ傾いてきますので、誰かがわりとハジケる言動を見せて、緊張感のある空気を和ませないといけません。その影響で、被害を被ったひとりが幻徳なんですね(笑)。

――幻徳は最初、なんとなく近寄りがたいというか危険な匂いをさせているキャラクターでしたけれど、戦兎の仲間になってからは、むしろ親しみやすい「幻さん」という雰囲気になって。

確かに近寄りがたそうなイメージで演技をしていましたが、ナイトローグとして暗躍し、東都を追われ、西都に身を移してから……仮面ライダーローグになるため「ネビュラガス」を注入されたことによって、以前のパンドラボックスの光の影響、つまり好戦的な気質が薄まっているという設定があるんです。なので、仮面ライダーローグになってビルドたちと争っている時期の幻徳は、少しずつ以前の自分に戻っているのを実感しながら、自身の変化に戸惑っているんです。そういう幻徳の「弱さ」がちょっとでも見えていたらいいな、と思いながら演じていました。

――西都×東都のライダー代表戦のときなど、幻徳としてはかなり無理をしていたんですね。

そういうのはすぐにわかるのではなく、お話が進行していくうちに、あのときの幻徳はこうだったんだ、みたいに明かしていくわけで、武藤(将吾)さんによる練りこまれたシナリオがあってできることですね。