これまでの人生で、苦手だった先輩は1人もいない。そう言い切れる人は世の中にほとんど存在しないはずだ。しかし、自分がいざ先輩になったとき、あんなに苦手だった先輩たちと似たようなふるまいをしてしまったことはないだろうか。

今回は、先輩に対して特に苦手なイメージが生まれがちな「飲み会」の席にフォーカスを当てる。本来はお互いの距離を近づけるための手段であるはずなのに、なぜそのようなことが起きてしまうのか。「よなよなエール」でお馴染みのヤッホーブルーイングが、その課題を解決するべく新たな取り組みに着手した。その名も、ビール×チームづくり=「チーム“ビール”ディング」。さらに、「飲み会を通じたチームづくり」を実現させるために2つのプロダクトを独自開発。その全貌に迫る。

  • 最近、遠ざかってしまっている先輩・後輩の関係。クラフトビールの力でなんとか近づけることはできないだろうか? その想いをカタチにするため、よなよなエールが新たな取り組みをスタートした

飲み会にまつわる課題をまじめに楽しく解決!

チームづくりという意味の「チームビルディング」に「ビール」を掛け合わせた、同社オリジナルの造語・「チーム“ビール”ディング」。クラフトビールが従来の形式にとらわれず自由でさまざまなスタイルで楽しまれるように、上下関係のないフラットで自由な飲み会がもっと広がれば、いい飲み会からいいチームづくりが実現できるのでは? そう考えた同社は、独自のアプローチで今回の「チーム“ビール”ディング」なるプロジェクトを立ち上げるに至ったという。

  • プロジェクトのリーダーを担うのは、2017年入社の渡部翔一さん。ニックネームは「ジン」。打ち上げ花火を上げられる資格を持っているとのこと

まずは会社関係での飲み会における課題を明らかにすべく、同プロジェクトでは「上司と部下の飲み会実態調査」を行った。対象は、20~59歳のビジネスパーソン男女800人。

  • 会社の飲み会での上司と部下の会話量バランスを調査

1つ目の質問は、「会社の飲み会での会話量のバランス」について。上司に対して自分と部下の会話量を聞いてみると、平均では「上司(自分) 4.5:部下 5.5」という結果が得られた。上司側は、部下とほぼ半々の割合で会話している感覚というわけだ。しかし、部下に同様の質問を投げかけると、その結果はまさかの「部下(自分) 3.7:上司 6.3」。上司は、自分自身が思っている以上に“話しすぎ”なイメージを持たれているということになる。世知辛い。

  • 上司と対等に話せると、飲み会は「より楽しくなる」と思う?

そんな部下たちに、「飲み会の席で上司と対等に話せると、その飲み会がより楽しくなると思うかどうか」を質問。結果、7割以上が「そう思う」と強めに同意した。会社の飲み会をもっと楽しくするためには、上司と部下の関係をある程度取り払い、対等に話せるフラットな環境を作ることが重要なのだろうか。

  • 上司との飲み会あるある、同じ話や武勇伝を何度も聞かされがち

部下からすると、上司の方が多く会話しているのが会社の飲み会のイメージであることは先に述べた通り。実際の会話量はさておき、その結果には会話の内容も影響しているに違いない。そこで、上司との飲み会における「あるある体験」を尋ねたところ、「何度か聞いた話でも初めて聞いたような反応をする」という経験は、66.5%の部下が「ある」と回答。さらに、部下の64.4%が「上司の武勇伝・自慢話を聞かされた」経験が「ある」と答えた。日本の部下たちは、フレッシュなリアクションの演技に関しては世界を狙えるレベルに到達しているのかもしれない。

  • 部下を楽しませることができていないと悲観的な上司たち

しかし、なにも上司たちは嫌がらせでそんなことをしているわけではないはず。実際に、「部下の話を引き出すことが上手いと思う?」という問いに対しては、上司の半数以上が「そう思わない」と答えており、48.3%の上司は「自分たちと飲んでも部下は楽しくないと思う」と考えているようだ。「部下がおとなしすぎて、話を盛り上げようと頑張りすぎてしまった」という回答も見られ、上司側も悩んでいることがうかがえる。

NOハラスメント, MOREコミュニケーション

調査の結果からわかるように、2018年現在の日本の飲み会は問題が山積みマウンテンだ。これらの問題にポジティブにアプローチしようと、専門家監修のもと2つのプロダクトが開発された。

  • 魔界のプリンス・アシュラマンのようなシルエットがインパクト大のキービジュアル

プロダクトその1は、「先輩風壱号」。サーキュレーターのようなものを6つ備えたこの椅子は、なんと“先輩風”をAI解析で見える化した、世界初の先輩風啓発マシンなのだ。ちょっと何言ってるかわからないという人のために詳しく説明しよう。このマシンは、会話の中から先輩風を感じるワードや声に込められた感情を検出し、その先輩感の強さに応じてリアルに風を吹かせるのである。

  • 同プロジェクトのメンバーが「先輩風壱号」を用いての飲み会を実践

「俺が若かったころは」「近頃の若者は」「時給」「バブル」「若気の至り」など、先輩風壱号は約2,000語の先輩ワードに反応。また、長時間喋りっぱなしの場合や、声色に怒りが感じられた場合にも先輩ポイントが加算され、徐々に先輩風が強まっていく。

  • 「俺がお前ぐらいのころは、あの部署にキラー・カーンみてぇなおっかねぇ先輩がいてよぉ…おい、ビールはラベルを上に向けて注げっていつも言ってるだろ」と、怒涛のコンボを繰り出すやいなや、強風で部下がT.M.レボリューションになりかけていることに気が付き、思わず話を中断する先輩

  • 風量を表示するメーター付きの親切設計

  • 座面には先輩にふさわしい本革が使用されている

事前に行われた導入実験では、「自分のことを思って言ってくれている。そういう風は吹かせてほしい」といった部下からの声や、「伝えたいことがあっても、伝え方やタイミングを考えないとただの先輩風になってしまうんだなと実感した」などの意見も寄せられた。

このプロダクトは8月3~17日の期間、「YONA YONA BEER WORKS 赤坂店」にて実際に体験することができるという(要予約)。これを機に、世の中にひとつでも多くフラットな飲み会が増えてくれることを願う。