KDDI総合研究所は8月2日、独自の機械学習技術「多角適応型モデル制御技術」を開発し、あらゆる方向を向いた顔に対する高精度な表情認識を実現したと発表した。

従来技術と異なり、同技術は真横を向いている顔でも正確に表情を認識可能なため、表情認識技術を導入する場面を拡大するという。

また、画像解析のアルゴリズムを大幅に効率化することで、従来比で3分の1以下の軽量化を実現し、高速な計算機や通信環境がない状況下での表情認識を可能にした。

これにより、同技術は小型のIoTデバイスの上でも単独動作が可能になり、利用者の顔を含む画像をクラウド等に送信する必要がなく、利用者のプライバシーを保護しながら表情認識を行うことができる。

今回開発した表情認識AI「多角適応型モデル制御技術」では、顔の向きの変化への対応可能性を高めながら、軽量な表情認識を実現するため、2段階の機械学習モデルを構築した。

第1段階では、顔の検出・顔の向き(上・下・左・右・中)を判定した後、第2段階で、顔の向きごとの表情認識モデルを適用することで、表情認識を行う方式となる。

  • 表情認識方式の概念図

同技術はKDDIのコールセンターに試験的に導入されており、コールセンターの応対者(コミュニケーター)が応対している際に、自身の表情(笑顔)を意識することを目的として、約300名のコミュニケーターが実際の電話応対時に利用している。

コールセンターでは問い合わせに対応するため、手元のスマートフォンを操作して下向きになるなど、応対者の顔の向きが正面から大きく逸れる場面があるが、このような現場においても、同方式による表情認識の精度は97.05%を達成しているという。

  • 表情認識AIの利用例