この夏に発売を予定しているソニーモバイルコミニュケーションズの最新スマートフォン「Xperia XZ2 Premium」。デュアルカメラや4K HDR動画撮影対応という特徴を備えたXperia XZ2 Premiumについて、同社はカメラ機能を中心とした新機能を報道関係者に詳しく解説しました。

  • ソニーモバイルコミニュケーションズの「Xperia XZ2 Premium」。NTTドコモからはSO-04Kとして、KDDIからはSOV38として、いずれもこの夏に販売を開始します

デュアルカメラは高感度画質向上のために採用

Xperia XZ2 Premiumは、Xperiaでは初めてカラーセンサーとモノクロセンサーの2つのカメラを搭載したデュアルカメラシステム「Motion Eye Dualカメラシステム」を採用した高性能スマートフォンです。

搭載するのは、有効1220万画素の1/2.3型Exmor RSモノクロセンサー+F1.6の大口径レンズを組み合わせたモノクロカメラと、有効1920万画素の1/2.3型Exmor RSカラーセンサー+F1.8のレンズを組み合わせたカラーカメラの2つです。それぞれ画素ピッチは1.55μm、1.22μmと比較的大型ですが、同クラスのセンサーはXperia XZ2にも採用されていますし、他社と比べても特別大きいセンサーというわけではありません。

  • Xperia XZ2 Premiumのカメラ。モノクロカメラとカラーカメラの2つで構成される

  • 昨今では珍しくなくなったデュアルカメラだが、Xperia XZ2 Premiumのカメラは他社にはない独自の工夫が凝らされているのだ

最大の特徴は、やはりカラーとモノクロの2つのセンサーを組み合わせるという仕組みです。カラーとモノクロの組み合わせは、すでにファーウェイがPシリーズなどで実現していますが、Xperiaのデュアルカメラはファーウェイと比べるとその目的が違っています。

Xperia XZ2 Premiumは、ズバリ「高感度画質の向上」を狙ったデュアルカメラに仕上げています。ファーウェイの場合、解像感とダイナミックレンジで有利なモノクロセンサーをベースにカラーセンサーで色づけするイメージで、全体的な高画質化を狙っていました。

それに対し、高感度に着目したXperia XZ2 Premiumは、低感度時はデュアルカメラとしては動作しないそう。商品設計部門カメラ設計部主任技師の高野浩司氏は「明るいところではカラーセンサーだけで十分なので、二眼を使う必要がない」と解説します。これは、高感度時にモノクロセンサーを使って高画質化する、という狙いのもとに開発されたからだといいます。

モノクロセンサーを使って全体を高画質化する、ということを想定していない設計なので、今後の開発次第ではそうした方向性もありえるでしょう。ただ、現時点では「モノクロセンサーとカラーセンサーの組み合わせで低感度時の画質を向上させる仕組みではない」としています。

高感度時の高画質化を目指した背景として、同社のクラウドフォトサービス「PlayMemories Online」にアップロードされたスマートフォンの画像600万枚あまりを調査したところ、EV値で7以下の画像が50%あり、さらにEV値が1以下の画像も5%あったことが紹介されました。EV7は明るめの室内ぐらいの照度で、EV1以下となると「夜の市街地」や「星空」、EV-5までになると「冬の天の川」の明るさとされています。

  • スマートフォンで暗所撮影を行うユーザーが一定層いることから、高感度時の画質向上を目指したという

こうしたEV1以下の暗所撮影を行うユーザーが一定層いることに対して、暗所での高画質化を図るためには、デジタルカメラだとより大きなセンサーを採用するという解決策があります。しかし、スマートフォンだとそれが難しいため、Xperia XZ2 Premiumではデュアルカメラを採用することで解決を図ったのだとしています。

デュアルカメラを採用する既存のスマートフォンでは、高感度画質の高画質化に加え、2つのカメラで距離を測定して疑似的にボケを作り出したり、焦点距離の異なるレンズを使った画角を切り替えや、カラーとモノクロの切り替えといった機能を提供しています。Xperia XZ2 Premiumでは、このうち高感度画質の向上とボケの生成、モノクロ撮影の機能を提供します。ただし、ボケの生成とモノクロ撮影機能は発売後のアップデートでの提供になるそうです。

  • スマートフォンのデュアルカメラは、一般的に3つの用途で利用されています。Xperia XZ2 Premiumでは超高感度、ボケの生成、モノクロとカラーの切り替えという3種類の機能を提供しています

  • Xperia XZ2 Premiumでは超高感度、ボケの生成、モノクロとカラーの切り替えという3種類の機能を提供しています