Formlabsは米国時間7月10日、同社が販売するジュエリー向けレジンのライブラリに、3Dプリンタ「Form 2」向けとして新たに「Castable Wax Resin」を追加し、出荷を開始したことを発表した。

  • Form 2 3D プリンタ、Form Wash と Castable Wax Resin

    Form 2 3D プリンタ、Form Wash と Castable Wax Resin

Castable Wax Resinは、ワックスを20%含有し、3Dプリントしたパーツをそのまま直接インベストメント鋳造に掛け、短時間で灰を残さずきれいに燃え尽きるように設計されている。また、強度の高いインベストメントを使う場合は、光硬化樹脂をいち早く鋳造するために加熱時間を短縮した8時間のショートバーンアウトにも向いている。3Dプリントしたパーツは、フィッティング用の試作品と最終製品のどちらの製作にも適している。

ディテールの凝った複雑な形状のジュエリーを手作業で製作するのは、非常に高度な技術が必要である。需要やファッショントレンドの移り変わりが激しいジュエリー業界では、手作業中心の製作法だけでは市場の変化のスピードに追い付くのは難しくなっている。

Form 2で3Dプリントした、インベストメント鋳造に直接移行可能なフィリグリーリング

Form 2で3Dプリントした、インベストメント鋳造に直接移行可能なフィリグリーリング

Castable Wax Resinは、滑らかな表面仕上げのみならず、パーツの強度を上げて驚くほど精密なディテールの再現を可能にし、高精度プリントが可能で導入しやすい価格、そして優れた費用対効果といった特長を持つ光造形(SLA)方式 3Dプリンタ「Form 2」での3Dプリントのために最適化されている。

この素材を使うことで、浮き彫りにしたテキスト、デリケートなフィリグリーワイヤーやメッシュ、ディテー ルの凝ったパヴェといった精細なデザインの特長を正確に捉え、しかも積層痕を見えないように仕上げることが可能となっている。

また、二次硬化が不要であるため、パーツの準備が早く確実に済むという特長がある。3Dプリントしたパーツはその段階で完全に硬化しており、そのまま鋳造に移ることができるうえ、イソプロピルアルコール(IPA)でさっと洗浄するだけでパーツ全体がきれいになり、すぐに使うことができる。

  • Castable Wax Resin で 3D プリントしたパヴェドームリング

    Castable Wax Resin で 3D プリントしたパヴェドームリング

このCastable Wax Resinと費用対効果の高い内製用の3Dプリンタは、これまで高価な設備が整った工場でしか供給できなかった業界基準の品質を、デスクトップ上で実現可能にする。また、これまで手作業が中心の製作現場で高度な技術と時間を要した複雑な形状も容易に製作でき、他の部品と組み合わせることもスムーズにできるようになった。これにより、ジュエリーのデザイナーやメーカーの作業スタイルや製作環境に大きな変化をもたらすとしている。

アンドリュー・ゴールドスタインのZina Sterling Silver副社長は、次のようにコメントしている。「3D プリントを内製化するまで、我が社はワックス製品を外注していました。その当時の初期設計段階ではよく、より厚みを持たせたり、より薄く仕上げたりするために、寸法や形状を変更する必要に迫られていました。このCastable Wax Resinという最新の素材を使うと、初期プリントでもディテールが驚くほど再現されるため、インベストメント鋳造に非常に容 易で効率よく移ることができることを知り、とてもワクワクさせられます」