声優の山崎はるかが5月23日、TVアニメ『魔法少女サイト』のエンディングテーマ「ゼンゼントモダチ」にてアーティストデビューを果たした。

  • 山崎はるか(やまざきはるか)。1991年6月27日生まれ。神奈川県出身。アーツビジョン所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』春日未来役、『ハヤテのごとく! CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU』水蓮寺ルカ役、『魔法少女サイト』雫芽さりな役、『異能バトルは日常系のなかで』神崎灯代役など

山崎はこれまでにも『アイドルマスター ミリオンライブ!』春日未来役や『ハヤテのごとく!』水蓮寺ルカ役などでキャラクターソングを多く担当してきたが、自身名義で楽曲を発表するのは今回が初となる。そこでマイナビニュースでは山崎へのインタビューを実施。彼女がアーティストデビューに至った道のりについてや、自他ともに認める彼女の"オタク事情"などの話を聞いた。 

▼実感がわいた「NBCフェス」

――デビューの話がきたときのお気持ちは?

驚き100%でしたね。私はあくまで声優になりたくてこの世界に入ったので、「アーティストとしての私」は考えたことがありませんでした。

――ソロデビューを発表したのは、2018年2月3日に開催された「NBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVAL」。シークレットでイベントに登場して、ソロデビューも発表して、当時はどういった心境でした?

それまでは「やります」と言った手前、「がんばらなくちゃ」という気持ちが大きかったんです。自分に置き換えて考えたんですけど、「好きな声優さんがアーティストデビューしたら曲を聴くのかな」、「私に需要があるのかなあ」って。とにかく不安でした。「NBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVAL」では、ファンのみなさんは既にアーティストとして活動している方々を観に来ている。その中で大丈夫かなって。でも、発表したときに声援をいただけてうれしくって、実感も湧いてきました。

――デビューの話としては動いていましたけど、まだ情報として世には出ていないから、ふわふわしているところもあったと思います。でも、発表して一気に現実感が出たんじゃないのかなと。

そうなんです。発表のあとにTwitterでも情報告知をしたら、「おめでとう」って言ってくれる方が多くて……。イベントはシークレットだったので、私を知ってくれている方は少ないと思うんです。でも、Twitterは私を知っている方が見てくれるし、そこで受け入れてもらえたのがうれしかったですね。

▼レコーディングには正解がない

――そうして生まれたのが1stシングル「ゼンゼントモダチ」。この楽曲はコンペで選ばれたんですか?

いくつかあるデモ曲の中から選ばせてもらいました。プロデューサーさんとも話し合ったんですけど、「この曲がいい」という意見で一致したんですよ。バンドサウンドが好きなので、最初に聴いたときに、すぐ耳に入ってきました。曲調が好きだったんです。

――『魔法少女サイト』のエンディングテーマになるということは。

知っていました。なので、『魔法少女サイト』ありきで考えていきましたね。デモ曲の中にはもっと明るめの楽曲もあったんですよ。「作品は暗めだけど楽曲は明るいイメージ」なのかなとか、もしかしたら私のイメージで作ってくださったのかなとか、いろいろ考えましたけど、結局いまの「ゼンゼントモダチ」に落ち着きました。

――「ゼンゼントモダチ」は『魔法少女サイト』主人公の朝霧彩と、奴村露乃の心情が歌詞に込められている、作品に寄り添った楽曲になりましたね。

はい! 1番から2番になるにつれて、白い光の中に向かって、がむしゃらにがんばってひとつの希望を掴みに行くイメージです。なので、ぜひ通しで聴いていただきたいです。そうしないと完結しない。1番だけだとまだ希望を掴みきれてなくて、1番最後の歌詞も"生きたい"という願望があらわれている。でも、最後の歌詞は"生きてく"になって、決意して進みだしているんです。

――エンディングではもちろんフルでは流れないですからね。TVではまだ希望を掴めない。

全話終わったあとなら最後まで聴いてもらいたいんですけど、1話とか2話とかのエンディングなら、"生きたい"でも合っているんだろうなって思います。

――実際にエンディングとして流れている映像を観ていかがでした?

エンディング映像では彩ちゃんと露乃ちゃんがリップシンクで"生きたい"と言っているシーンがあるんです。ここは彼女たちの気持ちが込められているところなので、このシーンが入っているのがうれしくて何回も観ました。あと、これまでキャラクターソングでエンディングを担当した経験はあったんですけど、そのときは「歌:○○役 CV:山崎はるか」みたいにクレジットされるじゃないですか。でも、今回は「歌:山崎はるか」とだけクレジットされていて「オオー!」ってうれしくなりました。

――それこそソロならではですよね。レコーディングの方は順調でした?

レコーディングは模索していましたね。一度録ったらそれが完成版になるじゃないですか。それが難しかったんです。スタッフさんとも話し合いながら、可愛さを出したり、格好良さを出したりと、何回も1番だけを歌うという作業を繰り返しました。その中で全員が納得でき、『魔法少女サイト』にも寄った楽曲を作り上げることができました。

――苦しい戦いでしたね。

これまでの仕事とは違う苦しさでしたね。キャラクターを演じるときは、台本をいただいて試行錯誤しますが、正解は監督の頭の中にある。でも、今回は正解がないんです。こっちがいろいろ提示していくけど、結局の正解は聴いてくれる方々のなかにあるのかなって。そこが難しかったですね。

▼初のMV撮影、初の両手ダンス

――今回はMVも収録していて、本格的なダンスを披露しています。

今回、両手を使ってダンスをしていて、これははじめての挑戦なんですよ。作品のライブで歌うときはマイクを持っているから片手で踊っているので。その分振り付けがガッツリと難しくて(笑)。

――MVのコンセプトは?

私の後ろに女の子がふたりいて、彼女たちが苦悩する女の子たちをイメージしているんです。私が彼女たちを光に導いてくイメージですね。なので目線を合わせたり、手を差し伸べたりしています。

――撮影は順調に進みました?

いやー、人生で一番緊張する撮影でした。MV収録なんてはじめてなので、流れもわからないし、カメラが何台もあるし。何より気持ちの作り方がわからなかったですね。私は本番よりリハーサルで緊張するタイプなんですよ。

――お客さんがいないから?

ライブはお客さんを楽しませたり盛り上げたり、いろいろな想いを込めて歌えるんですけど、MVだと誰に向かって、何をしていいのかがわからなかったんです。もう失敗ばかりでしたね。「間違えてもいいんだよ」とは言ってもらえたんですけど、「そういうわけにもいかんでしょう!」って。なので、MVは優しい気持ちで観てほしいですね(笑)。

――初回限定盤には「Dance shot ver.」とガッツリとダンスを観られるDVDも付いて。

そうなんですよー。ダンス難しかったのに(笑)。でも、せっかくがんばったんだから観てほしいって気持ちもありますね。

――いつかその振り付けはライブでも披露されるのでしょうか。

片手マイクになるとは思うので、多少振り付けは変わるとは思います。上下運動する振り付けも多いので、あまりにも歌がブレるときは変更するかもしれないですけど、できる限り踊ろうと思います!

――カップリングの「金曜日のBambi」についてもお聞きしたいです。

明るくてかわいいので単純にいい曲です。あと、いい意味で軽く聴ける曲ですね。「ゼンゼントモダチ」が重たいのでしっかりと耳に入ってくる曲じゃないですか。なので「金曜日のBambi」は、いい意味で流して聴いていただきたいです!