パナソニックは6月22日、ビジネスイノベーション本部に設置したAIソリューションセンターを中心とした、同社のAIへの取り組みについて説明した。

ビジネスイノベーション本部は、社内を横断したクロスバリューによるイノベーションの推進を目的に、本社部門のひとつとして2017年4月に設置。2018年4月には、SAPからパナソニック入りをして話題を集めた馬場渉氏が本部長に就任している。

同本部の傘下に設置したAIソリューションセンターは、全社のAI開発を加速させる役割を担っており、顧客との共創や、オープンイノベーションなどの手法を取りながら、モノ中心の事業開発から、サービスを中心とした事業開発を推進している。

パナソニック AIソリューションセンターの九津見 洋所長

パナソニック AIソリューションセンターの九津見 洋所長は、「AIソリューションセンターは、事業がないところにビジネスを作るとともに、AIによって、全社の事業に貢献する役割を担うことになる」と位置づけたほか、「パナソニックでは、2020年度までに1000人のAI技術者を育成する計画を立てている。2017年度末までに220人を目標としていたが、すでに300人以上となった。計画を前倒しして進行している。AI技術者の3分の2以上は、事業部門に所属することになる」などとした。

タテパナからヨコパナへの転換

今後5~10年で、数100億円規模の事業で、AIを活用していくことになるという。

パナソニックのAI戦略は、「E3-AI(イーキューブAI)」を基本としており、コストと性能を両立し、自前の製品や技術で培ってきた技術とともにAIを組み込む「Embedded」、AIをブラックボックス化させず、AIが判断した根拠から対策を打つ「Explainable」、研究開発フェーズながらも、今後注目を集めると見られる、使うほどに進化するAIによる「Evolutional」の観点から取り組む姿勢を強調。

  • E3-AI(イーキューブAI)」

「パナソニックは、フィジカルな分野で強みを持つ会社である。安定した品質でのモノづくりが得意である。ここに、産業に破壊的な価値をもたらすAIを活用することで、リアルに強みを持ったIoTカンパニーを目指す。IT企業を目指すのではなく、TのほうからIを攻めていくことになるのがパナソニックの取り組み。フィジカルカンパニーだからこそ所有できるデータと幅広い専門知識を生かしていく。全世界に200万台以上のパナソニック製品が接続されており、そこから300億件以上のデータを収集し、それらを活用していくことができる。これらのデータを活用したAIが、タテパナをヨコパナに変える役割を担うことになる」とした。

なお、パナソニック ビシネイノベーション本部では、「世界一の奪還」を掲げており、その条件から、タテパナからヨコパナへの転換を掲げている。これまでの事業部制をタテパナとするのに対して、ヨコパナでは、異なる事業部門同士が連携しながら、新たな製品やビジネスの創出に取り組んでいくことになる。