過日、台湾・DIGITIMESはAppleがiPhoneのコネクターを、現在のLightningコネクタから、汎用性のあるUSB Type-C端子へ変更する可能性があると報道した。業界全体での規格統一が望める名案に見えるが、問題はないのだろうか。

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DIGITIMESは6月12日付の記事で、複数のアナログICベンダーからの情報として、2019年に登場するiPhoneシリーズから、コネクタをUSB Type-Cに変更する可能性が高いと報じた。では現在採用されているLightningコネクターとは一体どのようなものだったか、今一度振り返ってみよう。

  • 「Lightning」のコネクタ

「Lightning」端子は、2012年に「iPhone 5」から採用されたインターフェースだ。これまでにAppleが販売している製品では、iPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5s、iPhone 6/6 Plus、iPhone 6s/6s Plus、iPhone 7/7 Plus、iPhone 8/8Plus、iPhone X、iPad(第4世代)、iPad Air、iPad Air 2、iPad(第6世代)、iPad miniシリーズ(全モデル)、iPad Pro(全モデル)、iPod touch(第5世代、第6世代)、iPod nano(第7世代)、Apple Pencil、Magic Mouse 2、Magic Keyboard 2、Magic Trackpad 2が採用している。

  • Lightningコネクタを搭載したロジテックの「LHC-UAL」

ハードウェア的に見ると、Lightningコネクタは8ピンのデジタル信号伝送用コネクタだ(表と裏で8ピンずつなので、16ピンとも言える)。前身となる30ピンの「Dock」コネクタと比べるとサイズが格段に小さく、同時期に多く採用されていた「microUSB」規格と比べると、コネクタに上下の区別がなく、どちらを上にして挿しても認識するという特徴がある(厳密に言えば表と裏の区別はあるが)。たとえば暗い中で手探りでケーブルをiPhoneに接続しようとして、どちらが正しい方向か悩まずに済むわけだ。電源のほか、流れる信号はUSBやデジタルオーディオに対応しており、普通に使う限りでは、基本的にはUSBケーブルだと思って差し支えないだろう。

  • iPhone 4のDockコネクタとケーブル。Lightningと比べるとかなり大きい

登場時はUSB 2.0に対応していたが、iPad Proからは内部的にはUSB 3.0にも対応している。ただしUSB 3.0に対応したLightningケーブルが存在していないため、転送速度はUSB 2.0と同じ480Mbps止まりとなっている。

ちなみに、コネクタには認証用のICチップが埋め込まれており、Appleから正規にライセンスを取得し「MFi認証」(Made for iPhone/iPad/iPod)を得た製品以外はLightningコネクタを使用できない。形状的にLightningコネクタに刺さるケーブルであっても、このチップがなければ正しく充電できなかったり、接続しても認識されない可能性がある(たとえば100円ショップの「iPhone用充電ケーブル」といった類の製品)。このMFi認証の認証コストや認証チップの搭載により、ケーブル自体の値段が下がりにくいという問題がある一方で、Dockコネクタの際に乱売されて互換性などの問題となった「水準を満たさない低品質なケーブル」が淘汰され、ユーザーが安心して利用できるというメリットもある(もっともLightningコネクタの強度については登場以来、ユーザーから多くの不満が寄せられているのだが)。