94年にEAST END × YURI名義でリリースした「DA.YO.NE」がヒップホップ初のミリオンセラーを記録するなど、日本ヒップホップ界をけん引してきたGAKU-MC。13年からは自身の音楽活動と平行し、Mr.Childrenの桜井和寿と音楽ユニット・ウカスカジーを結成し、翌14年に日本サッカー協会公認 日本代表応援ソング「勝利の笑みを 君と」を発表する。「勝利の笑みを 君と」は今年、2大会連続で公認応援ソングに採用されている。

ソロとして2年ぶりに発売するニューアルバム『Rappuccino』や、ウカスカジーの"相方"である桜井とのエピソードについて聞いた。

曲作りに反映された世界一周の旅

  • GAKU-MC

    GAKU-MC
    東京都出身。アコースティックギターを弾きながらラップする日本ヒップホップ界のリビングレジェンド。99年にソロ活動開始。現在は年間約60本のライブに出演し、レギュラーラジオ番組(J-WAVE)、TV出演や作詞作曲など作品提供を行う。

――前作(アルバム『ついてない1日の終わりに』)のリリース後、ご家族と一緒に世界一周旅行に行かれたとのことですが、どういった理由で世界一周をされたのでしょうか。

ここから先、音楽をたくさん制作していくにあたり、日常をどう違う視点から見られるだろうなと考えました。この日々をより良く思えるようになるには、いったん海外に出てみれば、面白くなかったことも面白くみえるのではと思ったんです。また、娘2人を連れていきたいなと。ネットですぐ検索すると、世界の裏側の写真も見れる時代ですが、そこには実感が伴っていないんじゃないかなと思いまして。

――世界一周の旅は、今回のアルバムの楽曲にどのように反映されていますか。

僕は日常のなにを大切にして音楽をやっているのかに気がつきましたね。東京では楽曲制作において機材もそろってますし、なんの苦労もないです。でも、旅先では機材や電波もなく不便です。それでも思い浮かぶのは、「どんな歌を自分が歌っていくべきなのか」とか「こういう人に届けたい」という思いなんです。楽曲には、例えば「世界の海はきれいだぜ」と目に見えたことを書くというよりも、その気がついた気持ちを落とし込んだ部分が多いですね。

――「こういう人に届けたい」と考える対象になにか変化はありましたか。

変わったというよりも、より明確になりましたね。仕事が忙しくて大変な友達を思い出して、「あいつ絶対音楽必要としてるな」という気持ちになり、そこに届けるにはどうしたらいいのかと。旅先の朝には早起きして、「自分もそんなときあったな」と東京の自分宛てにいっぱいメールを打ちましたね。新アルバムの何曲かはそういった形で出来上がりました。

――確かに東京にいると、どうしてもせわしなくなってしまいますよね。

分かってはいるんですけど、普通に暮らしていると僕もめちゃくちゃせわしないし、時間通りものが進まないとイライラしてしまいます(笑)。でも外に出ると、あのときの俺はせせこましいなと思いますね。

――ところで新アルバムのタイトル『Rappuccino』ですが、このタイトルに込められた思いをお聞かせください。

気がついたら来年でソロ20周年、デビューしてから26年で、良い時ばっかりじゃない景色もよく見ていて、ほろ苦い歌があってもいいじゃないかといつも思っていました。ちょっとほろ苦くて、でもなんかクセになるという。また、朝の作業時にコーヒーを淹れていることもあって、「コーヒー」とか「カプチーノ」というワードはどこか頭にありましたね。