Appleは、iPhoneの売上高が全体の6割以上を占める収益構造を持っている。だからこそ、iPhoneの販売台数の増減や、そのフラッグシップモデルであるiPhone Xの売れ行きが、同社の株価を左右する。

  • Appleの屋台骨を支え続けるiPhone

世界市場全体の低成長はすでにデータとなって現れており、前年比5%以上の販売台数減少という数字が現れるようになった。しかし、スマートフォンの成長についてまだまだAppleは強気の構えだ。Appleは2018年、iPhone Xで上昇させ切ってしまった平均販売価格を削りながら、ホームボタンがない新世代のiPhoneをより多くの人々に届けようと考えているようだ。

収益の軸足をサービスとウェアラブルへ移す?

Appleは、そんなiPhone中心のビジネスからの転換の動きを見せている。スマートフォン市場のさらなる低成長に対応する手段だ。1つは、前回の原稿で指摘したサービス部門の成長。そしてもう1つは、今回のテーマである「その他の製品」部門だ。

2018年第2四半期決算で、前年同期と比べて最も高い成長率を示したのは、サービス部門ではなくその他の製品部門だった。この部門にはApple Watch、AirPods、Beatsといったウェアラブル製品と、Apple TV、HomePodといったホーム向け製品、純正・サードパーティーを含むアクセサリー類の売上高が含まれる。

直近の四半期決算では39億5,400万ドル(約4,300億円)と、前年同期比38%増を記録。特に、ウェアラブル製品の売上高の成長力はさらに高く、前年同期比50%増であることが明らかにされた。

Appleは、しばしば自社の部門の規模を、売上高で米国企業をランキングしたFortune 500で表す。サービス部門は、すでにForune 500企業の90位前後に位置しているのだ。ウェアラブル製品は300位前後の規模との指摘があったため、前述の39億5400万ドルのうちの20億ドル(約2,175億円)程度がApple WatchやAirPodsなどで占められていることが分かる。

こうしたことから、iPhoneの販売が期待以下となった場合にも、サービス部門とともに顧客から支持を得ている材料として示せる「iPhoneに代わる新たな指標」として、その他の製品、特にウェアラブル製品を育てていこうとしているのだ。