説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『最近のiPhoneは機械学習が得意、ってどういう意味?』という質問に答えます。

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iPhone Xは機械学習が得意……はおそらく、搭載されているSoC「A11 Bionic」に機械学習用の回路が搭載されていることを指しています。「ニューラルエンジン」と呼ばれるその機構は、iPhone XとiPhone 8/8 Plusに採用されているA11 Bonicプロセッサの一部を構成し、機械学習に最適化された回路として画像や音声の処理に力を発揮します。

機械学習とは、ある事柄に関する大量のデータを解析し、そこから一定の傾向/法則を見出すことにより目的の処理を可能にする一種の人工知能(AI)です。A11 Bonicプロセッサに内包されるニューラルエンジンは、リアルタイム処理時に最大6,000億回/秒という高い演算性能によりAIの処理を助け、さまざまな判断や予測を行うために利用されています。

Appleの説明によれば、ニューラルエンジンは「Face ID」の顔認識に活用されています。メガネをかけたり髪型を変えたりしても同一人物として認識されるまでのプロセスには、ニューラルエンジンの働きが欠かせません。ユーザの表情をリアルタイムに解析しアニメーションに使う「アニ文字」も同様です。

ニューラルエンジンが活用される領域は、顔認識にとどまりません。大量のデータをもとにした画像や音声の分析を得意としますから、背景をボカしたり光源のエフェクトを変更したりできる「ポートレートモード」にも貢献しています。拡張現実アプリケーションや没入型の3Dゲームにも機械学習の要素が必要とされてきていますから、今後ますますニューラルエンジンの役割は大きくなることでしょう。

  • 機械学習の成果はFace IDやアニ文字などに生かされています