NTTドコモは5月16日、2018年夏期に発売する新端末および新サービスの発表会を開催しました。発表された新端末数はスマートフォン10機種(うち1機種は法人向け)、タブレット1機種の計11機種ですが、ハイエンドを中心に意欲的な機種が多く登場しています。ドコモ独自のAIエージェントなどの新サービスも披露され、充実の内容となりました。

  • NTTドコモ2018年夏新製品発表会「docomo Collection 2018」

1年前の夏モデル、2017年5月の発表会では登場した端末の数は9機種でしたが、2018年夏は割引サービス「docomo with」用端末2機種とタブレットを含めて、全11機種が発表されました。2017年はラインナップを極端に絞り込んできたという印象を受けましたが、今年は少し広がりがある印象です。

全体の傾向を見てみると、通常のラインナップはほぼすべてがハイエンド端末揃いで、低価格帯向けにdocomo with向け端末がおかれ、従来のミドルレンジにあたる機種がほとんどありません。もっとも、同系統の端末でバリエーションモデルも含まれているので、法人モデルを除けば、実質ハイエンド4機種(7モデル)、低価格2機種、タブレット1機種というカテゴライズができそうです。

このように両極端なラインナップになったのは、おそらくですが、ミドルレンジ帯(3~6万円前後)はSIMフリー端末が多数出ており、そこにあえてキャリアが同程度の端末をぶつける必要がないと考えたのではないでしょうか。キャリアの場合、ハイエンド機種でも分割購入で購入補助が入れば実質3~5万円程度で買えるので、ラインナップを上位モデルで固めても十分太刀打ちできます。今回はなんだかんだでバランスのいいラインナップだと思いました。

2018年夏モデルのトレンドは通信、サウンド、カメラ

今年のドコモの夏モデルのトレンドを表すと、【1】最高988Mbpsの通信速度を実現、【2】立体音響技術「Dolby Atmos」(4機種)/「S-FORCE」(3機種)に対応、【3】カメラ機能が充実し、デュアルカメラ(4機種)/トリプルカメラ(1機種)に対応、【4】16;9以上の超ワイド画面の採用――となります。

通信速度は一部機種で下り方向988Mbps、上り方向でも75Mbpsを達成するなど、いよいよ5Gに迫る1Gbpsレベルまで到達しました(もっとも東名阪エリアでのスタートとなり、実際にはよほどの好条件でもなければそのような速度は出ないと予想されます)。今回は、ハイエンド機種でのカメラ機能の充実が目立つ一方で、iPhone Xを意識した機能があまり見られなかったのは面白く感じました。

さて、それでは発表された11機種について、ショートインプレッションをお届けします。短い時間でのタッチ&トライであり、また会場の環境により試せない機能もあったため、あくまで筆者の個人的感想ということでご了承ください。この【前編】では、ハイエンド端末7機種を紹介していきます。

ワイド画面+サラウンドで迫力の視聴体験

Galaxy S9+ SC-03K(サムスン)

  • Galaxy S9+ SC-03K(サムスン)

発売時期:5月18日
直販価格:111,456円(新規・一括購入時)

Galaxyシリーズのフラッグシップとなる「S9」のプレミアムモデルが「S9+」です。S9との違いは、ディスプレイサイズが5.8インチ(S9)から6.2インチ(S9+)になることで、縦横がそれぞれ10mm、5mm大きく、重さが約26g重いこと、アウトカメラが「S9+」ではデュアルカメラを搭載していること。また、搭載メモリ(RAM)も「S9+」では6GBもの大容量となっており、ハイエンドなコンテンツを実行する際の余裕が大きい点も特徴。今回フラッグシップ級としては最初に投入されるモデルであり、長年世界的トップブランドとして君臨してきた自負すら感じさせるものがあります。

ディスプレイは前モデルの「S8+」から引き続き、Quad HD+(2960x1440)と、アスペクト比が18.5:9の超ワイド画面を採用したスーパーAMOLED。4Kほどではないですが、フルHDよりもひとまわり高解像度で、HDRにも対応。有機ELらしい深い黒が印象的な描写です。

カメラ部は、アウトカメラがワイドレンズと光学2倍のズームレンズに分かれており、一眼レフのように背景をぼかした撮影も可能。ワイドレンズは明るさを示すF値が1.5と、非常に明るいレンズを搭載しており、暗所での撮影時にシャッター速度を稼いで手ブレしにくくなっています。

このほか、960fpsのスーパースロー撮影(HD解像度まで対応)や、セルフィーを撮影するとアニメキャラクターが自分の表情に合わせて表情を変え、それをLINEなどのスタンプにできる「マイ絵文字スタンプ」「AR絵文字」(iPhone Xのアニモジに相当)など、他社のフラッグシップモデルと同様の多彩な撮影モードを用意しています。

  • カメラは縦に並んでおり、上がワイド、下がズームになっている

本体内蔵スピーカーと付属のイヤホンは、音響機器設計で有名なAKG社と共同でチューニングされ、立体音響技術の「Dolby Atmos」にも対応しています。Dolby Atmosは、左右だけでなく上下方向などにも音場を割り当てて臨場感を増す音響技術で、スマートフォンではZTEやLenovoなどがサポートしていますが、今回のドコモ夏新製品ではGalaxy S9/S9+とP20 Pro、AQUOS R2が対応しています。

実際にGalaxy S9+でデモを聞かせてもらったところ、本体のスピーカーのみでも、水音や風、鳥の声などが位置関係も含めて手に取るように聞こえ、音のクリアさや音圧の高さも含めたクオリティにかなり感心しました。スピーカー自体の素性もよさそうです。対応コンテンツは配信中心で、まだ数も少ないですが、徐々に増えているので、こうした配信コンテンツをベッドなどで手軽に楽しみたい層にとっては、かなり魅力的に映るのではないでしょうか。

  • Dolby Atmosは想像以上に音の臨場感が高い。Galaxy S9自体のスピーカーもかなり素性がいいと感じさせられた

このほか、生体認証では顔認証と指紋認証を組み合わせられるなど、おそらくiPhone Xを仮想敵としてよく研究し、使い勝手も含めてしっかり対抗できるように仕上がっていると感じられます。ドコモ2018夏モデルのラインナップの中でも、ソツのない1台としておすすめできる仕上がりでした。

もっともGalaxyシリーズには、2017年秋に発売された6.3インチの「Galaxy Note8 SC-01K」もあるため、いったいどれがフラッグシップなのやら、という贅沢な悩みもありますが。ぜひ店頭で触って悩んでいただきたいところです。