フジテレビのドキュメンタリー枠『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、23年の歴史で初めて差し替え対応で緊急企画を放送する。きょう29日に放送される『僕、区長選に出馬します』は、被選挙権を得たばかりの25歳の選挙戦に密着し、わずか半月の間の成長物語が描かれている。

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    練馬区長選挙に立候補した田中将介氏

今回の主人公は、4月15日に投開票が行われた東京・練馬区長選挙に立候補した田中将介(まさゆき)氏。フリーのジャーナリストとして活動していたが、世の中を変えるのは政治の力だという思いが募り、1カ月前に地元の練馬区長選挙に立候補することを決意したという。

最右翼は、現職の前川燿男氏。長年東京都の職員として勤め、行政の酸いも甘いも知った72歳の大ベテランに対し、選挙に必要とされる地盤(組織力)・看板(知名度)・カバン(資金力)で大きく劣る田中氏は、25歳という若さをアピールする戦略に打って出た。

供託金の100万円は父に借りるほどで、選挙カーもなく、選挙事務所は実家の自宅…。そうなると、頼りになるのはインターネットだ。Facebook上に選挙対策本部を立ち上げ、ネットでつながった20代の若者たちが支援者となり、SNSを駆使して支持者獲得のために深夜までパソコンに向かう日々が映し出される。

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ここまで見ると「若者らしいスマートな選挙戦を展開するんだろうな…」と思わされるが、街頭演説の第一声で「どの候補者よりも、外に出て、歩き回って、握手をして、いろんな人の話を聞いて、地道に泥臭くやっていくのが、僕の大事なことなんじゃいかなと思っているので」と、昔ながらの"ドブ板選挙"も重視する姿勢を披露。世代間の対立に陥ろうとしない、誠実な人柄が垣間見れた。

しかし、それまでトラブルが発生しても飄々(ひょうひょう)とし、あまり感情を出してこなかった田中氏が、なんと選挙戦初日に突然の涙。さらに、ネット上であった手応えが、リアルでは感じられないと弱音を吐く場面もさらけ出すが、そんな姿を見せるたびに、演説の上達ぶりも含めて成長していくように見える。番組では両親にも密着し、心配な気持ちを吐露しているが、気づけば筆者も親のような気持ちで見守っていた。

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今回は、『ザ・ノンフィクション』のフジテレビ・張江泰之チーフプロデューサーのもとに、『ヒルナンデス!』『スッキリ』などを制作してきた元日本テレビの村上和彦氏が持ち込んだ企画。すぐに田中氏と面会した張江CPは「誠実で本気さが伝わってきた」ということで、投票日後最速の29日に、もともと予定されていた企画を差し替えて放送することを決め、面会翌日の4月3日から密着取材を開始した。番組では、開票日翌日の田中氏の表情まで映し出している。

ちなみに、田中氏の密着映像では、さまざまなトラブルが最後の最後まで起こるが、それによって選挙に出るにあたってのいろいろな必要事項や注意事項を学ぶことができ、ある種の"選挙出馬ガイド"の要素も持ち合わせている。

そして、ナレーターを務めるのは、AKB48総監督の横山由依。もしかすると、年に1回"総選挙"を経験する自分と重ねながら、田中氏を見つめてナレーション原稿を読んでいるかもしれない。

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