高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市、KEK)が新型加速器「スーパーKEKB」を使って、素粒子同士を衝突させる実験に成功したと26日発表した。スーパーKEKBは、宇宙誕生直後に似た環境を再現することで宇宙の成り立ちを解明することを目標にしている。3月22日に本格稼働したが今回の実験成功はこうした目標に向けた確実な第一歩と言える。

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    写真 「スーパーKEKB」に昨年4月に設置された「ベルⅡ」測定器(提供・高エネルギー加速器研究機構)

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    図 「ベルⅡ」測定器の構造図(提供・高エネルギー加速器研究機構)

素粒子は物質を構成する最小単位。KEKによると、実験は25日午後10時すぎから始まり、いずれも素粒子である電子と、電気的に反対の性質を持つ陽電子を光速近くまで加速して衝突させた。26日の午前零時38分に衝突したことを確認したという。研究チームは今後、衝突に伴う素粒子の様子などを測定器「ベルⅡ」で精密に調べる。

スーパーKEKBは、地下10メートルにある1周3キロの日本最大の大型円形加速器。2010年まで運転を続けた前身のKEKBを大幅に性能向上させるために同年から高度化改造し、16年春にはほぼ完成。17年4月に素粒子が崩壊する様子を捉えることができる「ベルⅡ」測定器が設置された。電子と陽電子が真空パイプの中で加速されて衝突する頻度を、従来の加速器「KEKB」の約40倍に高め、衝突速度はほぼ光の速さまで加速できるようになった。

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