エアバスは4月10日(米オーランド時間)、格納庫内で使用するドローンベースの革新的な整備ツール「AdvancedInspection Drone(最先端検査ドローン)」のデモを初披露した。この最先端検査ドローンを活用することで、機体の目視検査を効率的に行い、機体の休止時間を削減し検査レポートの質を向上させる。

  • 格納庫内で使用するドローンベースの革新的な整備ツール「AdvancedInspection Drone(最先端検査ドローン)」のデモを初披露

    格納庫内で使用するドローンベースの革新的な整備ツール「AdvancedInspection Drone(最先端検査ドローン)」のデモを初披露

エアバスが持つ幅広い航空機の知識と、最高クラスのドローン技術を組み合わせたこの最先端検査ドローンは、ビジュアルカメラ、障害物検知レーザーセンサー、フライトプランナーソフトウェア、エアバスの機体検査ソフトウェア分析ツールを搭載した自律ドローンとなる。エアバスが非破壊検査を専門とする子会社のテスティアと共同開発し、航空機の胴体上部を検査するために最適化されている。

最先端検査ドローンはあらかじめ決められた検査ルートに従い、必要な全ての画像を搭載カメラで記録する。記録された高画質画像はPCのデータベースに転送され、ソフトウェアシステムによって詳細に分析される。これにより、そのデータを機体のデジタルモックアップと比較して、機体表面の損傷箇所を見極め、測定することができる。ソフトウェアが自動的に検査レポートを作成する。

  • 最先端検査ドローンはあらかじめ決められた検査ルートに従い、必要な全ての画像を搭載カメラで記録する

    最先端検査ドローンはあらかじめ決められた検査ルートに従い、必要な全ての画像を搭載カメラで記録する

このドローンによる整備システムは、新たな機体検査方法としてEASAの承認を受けた後、2018年第4四半期から利用可能になる予定。最初の実証実験は同システムの活用に興味を表明した航空会社数社が行っている。MRO関連企業も同システムを利用できる。

検査ドローンは格納庫内での使用を目的として設計されているため、レーザーセンサーで障害物を検知し、必要時には検査を中断する機能がある。このセンサー技術によって、ドローンは遠隔操縦する必要なく、自律飛行ができる。

最先端検査ドローンを活用することによって、航空会社やMRO企業は機体検査時間を削減し、機体の運航開始を早め、レポート全体の質を向上することが可能となる。さらに、損傷箇所の特定や、再現性、トレーサビリティを改善することができる。この検査方法は30分のドローンによる画像記録時間を含めてわずか3時間で完了し、運用者の安全性も向上する。一方で、従来の機体目視検査は地上から実施されるか、もしくは機体上部の検査には拡大鏡などの機器等を用いて行い、通常1日を要する。

  • 記録された高画質画像はPCのデータベースに転送され、ソフトウェアシステムによって詳細に分析される

    記録された高画質画像はPCのデータベースに転送され、ソフトウェアシステムによって詳細に分析される

エアバスのドローンによる最新検査システムは、2年前にシンガポールでエアバスが立ち上げた革新的整備プロジェクト、「未来の格納庫」(HoF: Hangar of the Future)の一部。HoFは、革新技術とIoTと接続した協働ロボット(コボット)やドローン、スキャナー、カメラ、非破壊センサーのような機器を、エアバスのオープンデータプラットフォームである Skywise(スカイワイズ)で集積した航空機の技術資料および運用データと組み合わせるプロジェクトとなる。デジタル化と整備の自動化によって、エアバスは保有機数が増え整備の必要性が増加する航空会社のニーズに対応し、全てのステークフォルダーに価値を提供する。