たまりにたまったストレスを解消するためのヒントを精神科医が解説

たまりにたまったストレスを解消するためのヒントを精神科医が解説

書店やコンビニエンスストアなどで、「ストレス」を扱った本や雑誌を目にした機会がある人も多いことだろう。家族や会社、サークルにママ友会……etc. 私たちは大小さまざまなコミュニティーで他者とかかわりを持つため、どうしても人間関係の面でストレスを抱きやすくなってしまう。それだけに「ストレス対策」「ストレス解消」といったテーマは、いつの時代も普遍的に私たちが興味を持つものだろう。

ストレスが蓄積し続ければ、どこかのタイミングで精神が"崩壊"してしまう。そうならないよう、日々の暮らしの中でうまくストレスを発散し、ストレスの総量を低減させることが肝要となる。そこで今回は、精神保健指定医の髙木希奈医師にストレス対策についてうかがった。

ストレスの解消・緩和につながる行動

髙木医師はストレスを解消・緩和させたいならば、「まずは休養が大切」と訴える。

「何もせずにゆっくり休む時間を作り、規則正しい生活リズムで生活するようにしましょう。ぬるめのお風呂にゆっくりつかるのもいいですね。好きな香りの入浴剤や、ラベンダーなどのリラックス効果のあるアロマオイルを垂らすのもお勧めです」

その他には「バランスのよい食事をする」「おいしいものを食べる」「ウォーキングや散歩などの軽い運動をする」「マッサージや整体などに行く」「自分の好きなことや趣味を見つける」「掃除をする」「愚痴や悩み相談をする(ストレス内容を人に話す)」なども効果的だという。

発想の転換に基づく認知行動療法

ストレスをためこみやすい人、ストレスへの耐性が低い人の特徴として「まじめ」「責任感が強い」などがある。こういった特徴を持つ人は「完璧にやらないといけない」などと、自ら負荷をかけてしまった結果として、ストレスをためこんでしまうという側面もある。そのため、がむしゃらにがんばらず、「ほどほど・適当に」などと、気持ちの面で余裕を持つこともストレスの低減に役立つ。

このような発想の転換を用いた治療法は「認知行動療法」と呼ばれ、医学の現場でも実際に用いられている。

「例えば、あなたにばかり仕事を押しつけてくる上司がいると仮定しましょう。あなたは腹立たしいでしょうし、『何で自分ばっかり……いやがらせされているのかも? 』と思ってしまうかもしれせん。ただ、『自分はとても仕事ができるし、その処理スピードも速いから、他の人よりも自分を頼って上司は仕事をお願いしているのだ』というように逆の発想で考えてみると、気持ちが上向きになったり、楽になったりします」

認知を変えるということ自体は特別な知識や修練を必要としないため、誰でも実践可能というメリットがある。いつもと違う視点や側面からものごとを考えたりとらえたりするのは、最初は慣れないかもしれない。それでも、特別なコストを必要とせずにストレスを低減できるのであれば、取り組む価値は大いにあると言えそうだ。