北海道大学(北大)は、恐竜類の巣化石の堆積物を調べ、恐竜たちの卵を温める方法を推定することに成功したと発表した。

同成果は、名古屋大学博物館日本学術振興会の田中康平 特別研究員、北海道大学総合博物館の小林快次 准教授らと、カナダ・カルガリー大学およびロイヤル・ティレル古生物博物館との共同研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。

  • 北極圏での恐竜類(右:ハドロサウルス類、左:トロオドン科)の営巣復元画 (C)服部雅人氏 (出所:北海道大学Webサイト)

恐竜類の卵や巣の化石は世界中から大量に発見されており、恐竜たちはさまざまな環境で巣作りしていたことがわかっている。しかし、実際にどうやって卵を温めていたかを追求した研究は限られていた。

今回の研究では、巣化石の堆積物を調べることで恐竜たちの卵を温める方法を推定し、恐竜類の多様な営巣方法を明らかにした。例えば、砂の中に卵を埋めて太陽光熱や地熱を利用する方法や、植物の発酵熱を利用する方法など、グループによって卵を温める方法が異なっていたことがわかった。

これらより、恐竜類にとって厳しい環境であるはずの北極圏で、恐竜たちがどうやって営巣していたのかを考察することが可能になったしている。また、営巣方法の違いが、恐竜たちの地理的分布にも影響を与えた可能性が示されたとしている。

今回の成果を受けて研究グループは、今後、恐竜たちがどうしてこれほどまでに分布域を広げられたかを解明するためには、営巣方法も併せて議論されると期待している。