NTTドコモ(以下、ドコモ)は、エアロセンスと、3月12日に福岡市の協力のもと、災害発生時の被災状況把握を映像で広域かつ迅速に行うことを目的とした、新たな防災インフラの構築に向けた飛行実験を実施し、長距離・高速飛行が可能な垂直離着陸機(VTOL)とLTE通信が可能なドローン用LTE通信デバイスを用いた、広域リアルタイム映像伝送に成功したことを発表した。

  • 実験に使用したVTOL

    実験に使用したVTOL

福岡市では、2005年に発生した福岡県西方沖地震以降、災害発生時に遠方にある離島の被災状況を迅速に把握することが課題となっている。

この実験においてドコモは、ドローンに積載できる小型・軽量のLTE通信デバイスと、機体の位置や飛行速度の遠隔監視および機体に搭載したカメラ映像のリアルタイム伝送を可能にするシステムを開発した。エアロセンスが開発したVTOLにLTE通信デバイスを搭載し、福岡市の九州本島と玄界島間の海上飛行経路を想定した飛行実験を平均速度約90km/hで行い、VTOLの飛行状況と玄界島の映像をLTEネットワーク経由でリアルタイムに専用サーバへ伝送する技術を実証することに成功した。

VTOLは長距離・高速飛行が可能であるため、一般的なマルチコプター機では到達困難な10km以上遠方へ飛行できるうえ、約3倍早く目的地へ到達できる。さらに、ドローン用LTE通信デバイスを搭載することで、LTEサービスエリア内であれば、ドローンの場所によらずリアルタイム映像伝送が可能となる。この防災インフラを提供することで、災害発生時の人命救助をより広域かつ迅速に行うことが可能となる。

ドコモは今後、測量や農水産等、災害以外のユースケースに関しても、VTOLとドローン用LTE通信デバイスを活用した快適なドローンサービスの提供を検討していくという。あわせて、複数機体の自動飛行などを目指すにあたり、「ドローンプラットフォームdocomo sky」への機能搭載も検討していくとのことだ。