2017年7月に放送されたTVアニメ『天使の3P!』のイベント「『天使の3P!』SPECIAL LIVE ~ファンとのくさび ♪ ~」が2月4日、東京・Zepp Tokyoにて開催された。

  • 「『天使の3P!』SPECIAL LIVE ~ファンとのくさび ♪ ~」

出演は、Baby's breathとして五島 潤役の大野柚布子、紅葉谷希美役の遠藤ゆりか、金城そら役の古賀 葵、さらに貫井 響役の井上雄貴、貫井くるみ役の日高里菜、相ヶ江柚葉役の井口裕香も登場。熱気に満ちた当日の模様をレポートしよう。

『天使の3P!』は、小学生の潤、希美、そらがバンドを結成することから物語が始まる。そこで、彼女たちを演じる大野、遠藤、古賀も3ピースバンドBaby's breathとして数々のイベントで生演奏を披露してきた。今日の公演は、今までの活動の集大成となるライブイベントだ。

待ちきれないファンの大きな手拍子の中、3人が登場。まずはOP主題歌の「羽ばたきのバースデイ」を、笑顔全開で披露する。これまでの練習の成果が垣間見える3人の演奏に、ファンも拳をかかげ盛り上がる。

演奏が終わると大野は「ようこそ! ライブハウスリトルウィングへ。今までで一番楽しいライブにしましょう!」とファンへごあいさつ。今日に向けて遠藤は希美のように髪をネイビーに染めたそう。古賀もそらと同じショートヘアにしたと話し、それぞれのライブにかける気合いがバッチリ伝わってくる。

2曲目は古賀が「私たちのはじまりの曲」と紹介した「深海プリズナー」。そして、ライブで初披露となる「Baby’s place」が演奏された。その後、井上、日高、井口が登場してトークパートがスタートする。

井口は「本当に演奏してるんだね~!!」と、3人の堂々とした演奏に感動した様子。そんな3人のがんばりを記録した、練習合宿のメイキング映像が特別に公開される。練習中の真剣な表情と、休憩中ののほほんとした表情がどちらも収められた、ファンにはたまらない映像であった。

この練習合宿には1日目に井上も参加。Baby's breathが結成されたときからそばで見てきた井上は、「レベルが20から80にアップしていました」と、3人の上達ぶりに舌を巻いたという。

話題は本作のオーディションの話へ。遠藤は、最初は潤を受けており、なんと古賀が希美を受けていたことが明かされる。さらに、井上はオーディションで潤を受けるのかと勘違いしたことを告白。まだ事務所の養成所生だったこともあり「試されてるのな……?」と戸惑ったそうだ。

ここで、Baby's breathの3人がニコニコ生放送で行なっていたコーナーを、井上、日高、井口が体験することに。「天使のエチュード」と題されたそれは、お題に合わせてかわいいセリフをステージで披露するというもの。

この日のテーマは「かわいい告白」。井口は「こういうのホントに苦手なんです……」と言いながらも「すばるん、大好きだぞ!」と、原作者蒼山サグの過去作で、井口自身もアニメに出演していた『ロウきゅーぶ!』のネタで客席を沸かせる。日高は「バレンタインは好きな人と過ごしたいから……14日一日、わたしにください」と告白。そのかわいらしさに、熱狂的な歓声に場内が包まれた。

しかし、優勝をさらったのはなんと井上。「僕、センパイのことがずっと好きでした! 明日からは彼氏としてそばにいさせてください」と、多くの男性ファンがひしめくフロアに向け、とびきりのかわいらしさをアピールし、見事に会場中のハートを射止めていた。

笑いの絶えないトークパートが終了し、ライブパートが再開。Baby's breathが最初に練習した曲「BLUE TEARS」が披露される。さらに古賀の小気味のよいドラムにのせて、一人ずつメンバー紹介を行なったあとは、疾走感あふれる「INNOCENT BLUE」へ。

演奏中のMCを受け、ギターを持った井上がさっそうと登場。Baby's breathと息のあった演奏を披露した。間奏ではお立ち台に上がり華麗なギターソロをプレイ。ギターの先生に教えてもらったという、「かっこいいギターの弾き方」を存分に見せつける。続いて井上をまじえ、畳み掛けるように「HOWLING」が披露される。「Say HOWLING!」の大合唱が起こり、会場が一つになった。

続いてキャスト6人による朗読劇のコーナーへ。「貫井家の日常!?」と題されたこのストーリーは、響の家で起こる日常の一コマを切り取ったものだ。

響の「妹の髪シャンプー職人」としての真面目な仕事ぶりを追った前半部は、響とくるみの仲睦まじすぎるお風呂の様子を描写。さらに後半は、響の部屋にやってきて彼をマッサージする潤、希美、そら、くるみ、柚葉の様子に、フロアは爆笑の連続だ。紫の怪しげな照明のもと、一部アダルトな雰囲気をにおわせるセリフも飛び出し「悪い大人たちに遊ばれてる気がする……」とアドリブでつぶやく日高の姿があった。

劇中、マッサージにより体がアツくなってきた響は、「1曲歌わせてください!」と潤たちに懇願。アコースティックギターで「HOWLING」を引き語り、美しい歌声を披露した。その演奏に胸を熱くした潤たちが「私たちも早く演奏したい!」と言いだし、再びライブパートへ。

大野の印象的なギターリフから始まる「モノクローム果樹園」からスタートする。大野は「この曲はすっごく難しい!」と話したが、堂々たる演奏を披露していた。

続いては雰囲気を一変させたバラードナンバー「大切がきこえる」。演奏の前に大野が「この曲は、アニメもそうだけど、実際(のわたしたち)ともかぶって悲しくなるの」と話したことを受け、演奏中に古賀が今にも泣きそうな顔になり、つられて遠藤も涙するという場面が。二人の涙に戸惑う大野に、ファンも声援を送っていた。

演奏後のMCで大野は「弾けなくて悔しくて何回泣いたことか」とバンド活動を振り返りつつ「でも、3人の合同練習は楽しいの。一緒にいると安心する」と、2人への信頼を語る。遠藤は「ちょっとだけ二人よりも早くお仕事を始めていたから、二人よりもしっかりしなきゃと思っていたので、ぞみたん(希美)もこんな感じなのかなと思ってた」と話した。

古賀も活動を振り返って話そうとするが、感極まったようで言葉に詰まり「とりあえず、みんなが大好きってこと!」と一言。そこへ、間髪入れずに「私も大好き!」、「大好きだよ」と大野と遠藤がそれぞれに応える。アニメ放映前から練習を重ねてきたBaby's breathの絆が感じられた瞬間であった。こうして本編は「ファーストテイク」で幕を降ろす。

そして響き渡るアンコールの声に応えるべく、グッズのTシャツに着替えたBaby's breathの面々が再びステージに登場。今度は彼女たちに楽器を教えた先生たちの演奏で、「楔」を披露。髪飾りをものともしない激しいヘッドバンギングでファンを熱くさせる。

続いての「Believe In…Myself」で盛り上がりは最高潮へ。最後は「羽ばたきのバースデイ」が再び披露され、ステージもフロアもタオルを振り回して盛り上がった。

大盛り上がりのスペシャルステージもいよいよエンディング。最後の挨拶で井上は、興奮気味にBaby's breathの3人の努力をたたえつつ「終わりたくないです! 初めての主人公の作品が『天使の3P!』で本当に幸せです」と、ほとばしる作品愛を言葉にした。

古賀は「みんなとここに立つことができて、私は幸せでございます。みんな家族みたいな作品でした」と、涙まじりに語る。古賀のドラムの師匠、MIZUKIも、そんな古賀の言葉にタオルで涙を拭っていた。

遠藤は、希美の6話でのセリフを引用し「See you again, my family.」と笑顔で再会を誓う。大野は「『天使の3P!』はつらくなったときに背中を押してくれる作品です。つらくなったらアニメを見たり、曲を聴いてください」と、胸いっぱいの様子でファンへ呼びかけた。

出演者たちが退場する際も、それを惜しむように大きな拍手が鳴り止まない。タイトル通り強い「楔」で結ばれた、ファンと作品との関係が垣間見られたイベントであった。