保育園の入園可否が決まるこの時期。入園が決まった人、決まらなかった人がいる状況で、誰もが願うのは「希望する全ての人が保育園を利用できること」ではないだろうか。

そんな中、永田町の議員会館に150人以上が集まり、今本当に必要な子育て政策とは何か、考える集会「#保育園に入りたい を本気で語ろう」が開かれた。

  • 集会には150以上の人が集まった

保育目標「32万人」は正しいの?

「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」が開催した今回の集会。駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス 代表理事)、高崎順子さん(『フランスはどう少子化を克服したか』著者)、てぃ先生(保育士)、堀潤さん(ジャーナリスト)などの有識者が議論を交わした。

まず駒崎さんが保育の現状について語り、「待機児童の背景には"申し込んでも無理だ"と諦めて入園の申し込みすらしていない"潜在待機児童"もいる」と主張。認可保育園には入れなかったものの、認証保育園など、自治体が認めている保育園に入園した人などは待機児童に含まれず、保育の需要が正確に把握できていないのではないかと訴えた。

  • 駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス 代表理事)

現在、国が2020年までに必要と試算した保育の整備量は32万人とのこと。一方で、シンクタンクの中には90万人弱と試算するケースもあり、ファシリテーターを務めた堀さんは「潜在的なニーズをどうやって計測するべきか、きちんと提案していく必要がある」とまとめた。

  • 堀潤さん(ジャーナリスト)

子育て政策にもっとお金を

高崎さんはフランスの保育事情について解説。日本よりも国家予算規模が少ない中で、子育て政策に関しては日本を上回る額を支出していることに触れ、「なぜ日本は保育にお金をかけないのか、しつこく言っていくべき」と主張した。

また、育児休暇取得者の権利維持が法に定められていて、遵守しない雇用者には罰則があるというフランスの事例も紹介。「日本では"子育てに優しい企業には●●マークを与えます"というインセンティブの施策が中心」と語り、両国の違いを指摘した。

  • 高崎順子さん(『フランスはどう少子化を克服したか』著者)

高崎さんの解説を受けて、てぃ先生も「現場の人間としては、保育にかけるお金が少ないと、保育の質を十分に保つことが難しい感じる」と主張。「1歳や2歳の子ども6人を1人でみるという日本の基準では、一人ひとりに合った保育をするのは大変」と現状を語った。

続けて「子どもをみる以外の業務の無駄があまりにも多すぎる」と問題点も指摘。手書きの連絡帳を夕方迎えに来る保護者に手渡すことにこだわるあまり、保育士の休憩時間にもあたる子どものお昼寝中に、連絡帳の記入を行わなければならない現状を例に出した。

「例えば連絡帳をICT化すれば、保育の後に記入して、保護者の帰宅後、連絡帳の内容を配信することも可能になり、保育士が休憩を取ることもできる。しかし、全く普及していない」(てぃ先生)。保育士の労働環境を取り巻く状況を変えなければ、保育士は増えないと訴えた。

  • てぃ先生(保育士)

声をあげ続けることが大事

最後に「"喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう"というのが、待機児童問題の解決が遅れている原因の一つ」と駒崎さん。確かに、保育園に子どもを入れることができたあとは、問題について忘れていってしまいがち。声をあげる当事者が移り変わる中で、活動の継続が難しいという背景もある。

駒崎さんは「保育園に入れたとしても、入れなかった人たち、今困っている人たちに思いをはせて、活動しつづけてほしい」と訴えた。