富士フイルムは2月15日、ミラーレス一眼「FUJIFILM X」シリーズの新製品「FUJIFILM X-H1」を発表した。一眼レフカメラライクなデザインを採用し、速写性能を重視した高性能モデル。新たにボディー内手ぶれ補正機構を搭載し、すべてのレンズで5軸手ぶれ補正が働くようにした。ボディーの剛性を高めたほか、オートフォーカスの性能も向上させた。高性能一眼レフと同等の撮影性能やボディー剛性を備え、一眼レフを愛用するハイマチュアユーザーやプロの乗り換え需要を狙う。

価格はオープンで、予想実売価格はボディー単体モデルが税別230,000円前後。発売は3月1日。

  • 富士フイルムが新たに発表した高性能ミラーレス一眼「FUJIFILM X-H1」。ミラーレスならではの扱いやすいサイズのボディーながら、撮影性能は高性能一眼レフと肩を並べる

富士フイルム 代表取締役社長 COOの助野健児氏は「レンズ交換式カメラの販売台数は2016年までずっと下降傾向にあったが、2017年はついに上昇に転じた。ミラーレス一眼の比率も38%にまで高まった。ミラーレス一眼のみを手がける富士フイルム自身も、イメージング事業の営業利益が2017年は前年の4割増しになった」と語り、レンズ交換式カメラはミラーレス一眼に勢いがあることを解説した。

  • デジタルカメラをはじめとする富士フイルムのイメージング事業は、2017年に大きく飛躍した

  • デジタルカメラ業界全体でも、2017年は出荷金額が2016年を上回った。ミラーレス一眼の比率も40%近くまで達した

その流れを受けて富士フイルムが今回投入するのが、一眼レフスタイルのフラッグシップ機となる「FUJIFILM X-H1」だ。2016年9月発売の従来モデル「FUJIFILM X-T2」と似た外観ながら、シリーズで初めてボディー内手ぶれ補正機構を搭載したのが特徴。写真撮影と動画撮影の両方で5軸の手ぶれ補正(最大5.5段分相当)が働き、ぶれを大幅に低減できる(手ぶれ補正機構を備えるレンズを装着した場合、レンズ側2軸+ボディー側3軸の補正が有効となる)。

  • X-H1は、一眼レフスタイルの高性能モデル「X-T2」に似たスタイルを継承するが、ボディーはひとまわりほど大きくなった

  • 撮像素子は、X-T2やX-Pro2、X-E3などと同じ有効2430万画素のX-Trans CMOS IIIセンサーを採用するが、新たにボディー内手ぶれ補正機構を追加した

  • X-H1に搭載されたボディー内手ぶれ補正機構。5軸方向への補正に対応しており、最大で5.5段分の補正効果を持つ

小型軽量ボディーを維持しつつボディーの剛性を高め、レンズ交換や衝撃などへの耐性を向上した。グリップは大型化し、大型の望遠レンズなどを装着した際も安定して保持できるようにした。シャッターボタンは、わずかな力の入れ具合で半押しから全押しに移る心地よさを重視したリーフスプリング式のボタンをシリーズで初めて採用。シャッターボタン後方には、シャッター速度や絞り値などを表示する液晶パネルを新たに設けた。

  • X-T2と比べてグリップを大型化し、重量級の望遠レンズを装着した際も安定してホールドできるようにした

  • X-H1のシャッターボタンはリーフスプリング式のボタンを採用しており、わずかな力の入れ具合で半押しから全押しに移るのが心地よい

  • シャッターボタンの後方には、GFX 50Sのような情報表示パネルを搭載。表示はネガポジが切り替えられる

  • 背面液晶は、縦位置撮影時でもチルトの恩恵が受けられる独自の3方向チルト式を採用する

オートフォーカスや露出制御も改善した。蛍光灯や水銀灯など、チラつきのある照明下でも安定した露出で撮影できるフリッカー低減撮影機能を搭載。オートフォーカスは、像面位相差AFの測距の方法を改良し、速度や精度を高めた。

色調を変えて撮影できるフィルムシミュレーションは、新たに映画用フィルムのような落ち着いた色合いで撮影できる「ETERNA」(エテルナ)を追加した。写真撮影時でも使えるが、おもに動画撮影時に使ってもらいたいとする。

  • フィルムシミュレーションに、新たに「ETERNA」(エテルナ)を追加した

  • ETERNAのトーンカーブを見ると、Proviaと比べてハイライトやシャドウの階調表現を重視していることが分かる