日商エレクトロニクスは2月5日、RPAテクノロジーズやABBYYジャパンとそれぞれ協業を開始し、RPAおよびAI-OCR分野におけるサービスを提供すると発表した。

  • 協業を発表した3社の代表。左から、ABBYYジャパン 日本統括シニアディレクター 小原洋氏、日商エレクトロニクス 代表取締役社長 岡村昌一氏、RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 大角暢之氏

日商エレクトロニクスでは、協業によりRPAテクノロジーズが展開する「BizRobo!」シリーズの「Basic Robo!」およびABBYYジャパンのAIをベースとした次世代文書処理ソフトウエア「ABBYY FlexiCapture」とその関連製品の取り扱いを開始する。

日商エレクトロニクスでは、昨年11月から「Basic Robo!」と「ABBYY FlexiCapture」を社内の実環境で活用し、営業部門で支払予定データの入力と支払い前の経理部門のチェックを効率化。それまですべて目視で行っていたものを、伝票データとシステム上のデータをExcelに書き込み、チェックが必要なものは背景色を変えるなどして、目視チェックが必要な伝票数を大幅に削減した(100枚あたり2、3枚程度に)。これにより、年間360時間程度かかっていたこれら作業を、90%程度削減することに成功したという。

  • 日商エレでは、伝票データとシステム上のデータをExcelに書き込み、チェックが必要なものは背景色を変え、目視チェックが必要な伝票を大幅に削減

  • 以前のプロセス(上)とRPA化後のプロセス(下)

日商エレクトロニクス ビジネスソリューション事業本部 企画開発室 室長 青木俊氏

日商エレクトロニクス ビジネスソリューション事業本部 企画開発室 室長 青木俊氏は、「今後は、これらの実体験を踏まえたノウハウを伝えていきたい」と語る。

同社では、今後、デジタルレイバーコンサルティングサービス、RPA・AI-OCR インテグレーションサービス、ロボットファクトリーサービス(人材派遣)、RPA 教育サービス、ロボットメンテナンスサービス(4 月リリース予定)の5つのサービスを提供する。

  • 日商エレが提供するデジタルレイバー総合サービス

日商エレクトロニクス 代表取締役社長 岡村昌一氏は「双日システムズとの合併により、従来のIT分野だけなく基幹システム、および運用を強化しており、RPAも大きな関心を寄せている分野だ。今回協業を発表したRPAテクノロジーズ様とABBYY Japan様は、RPAとAI-OCRの国内のトップランナーであり、これらのツールを業務で活用し、実体験を踏まえたノウハウをお客様に提供していきたい」と語った。

RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 大角暢之氏は、今回、日商エレクトロニクスとの協業に至った背景として「ビジョンの共有と実現性」を挙げた。

「ツールの普及ではなく、デジタルレイバーを誰でも使える環境にしていくのが我々のミッションだ。期待はツールではなく、デジタルレイバーにある。ルーティングをデジタルレイバーにやらせることによって、経営的なKPIを劇的に改善させることが可能だ。そのためデジタルレイバーをいかにスケールさせていくかがポイントで、その点を日商エレクトロニクス様に共感していただいた。現在のRPAビジネス市場の短期的に解決すべき課題は、導入アプローチ、ツール選定ブームの問題、RPAエンジニア枯渇という3つだが、日商エレクトロニクス様であれば早期解決が可能だ」(大角氏)

  • 大角氏は、RPAビジネス市場の短期的に解決すべき課題を日商エレクトロニクスであれば早期解決が可能だとした

また、ABBYYジャパン 日本統括シニアディレクター 小原洋氏は、「RPAの場合、紙の情報をどうロボットにつなげていくかが課題になる。ABBYYの可変帳票OCRは業務で必要なデータを取り出し、RPAや業務プロセスへデータ渡すのが特徴だ」と自社製品をアピールし、今回の協業のポイントとして、販売チャネル拡大、トータルサポートによる総合力、増大するRPA市場への対応の3つを挙げた。

そして、「販売チャネルでは、特に金融業界に期待している。コンサルからサポートまでの一気通貫できるベンダーは少ない。日商エレクトロニクス様のトータルで技術提供できる点に期待している」と述べた。

日商エレクロニクスでは、RPAとAI-OCRを活用したデジタルレイバーサービスを大手を中心に初年度20社に導入することを目指し、デジタルレイバーコンサルタントを中心とした専門チームを発足させるという。