多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『Android 8.0対応端末だったらBluetoothが高音質ってホント?』という質問に答えます。

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Bluetoothが高音質というのは、オーディオコーデックとして「LDAC(エルダック)」と「aptX HD(アプトエックス・エイチディー)」を利用できるという意味でしょうか? 確かに、LDACとaptX HDは洗練された符合化アルゴリズムの採用により情報の劣化が少なく、それぞれの規格に対応したオーディオ機器を利用すれば高音質再生を狙えます。

LDACは最大96kHz/24bit(990kbps)、aptX HDは最大48kHz/24bitというデータレートでオーディオ信号を転送できますから、Bluetoothオーディオで標準のコーデックSBC(44.1kHz/16bit時に最大328kbps)に比べ情報量の面でも有利です。

どちらもAndroid 8.0で標準サポートされましたが(従来は一部端末のみ)、Android 8.0対応端末すなわちLDAC/aptX HD対応と考えるのは早計です。必須機能ではありませんから、LDAC/aptXを採用するかどうかは端末メーカー次第です。オープンソース化されたとはいえ、いちど採用するとサポートの義務が発生するため、ほどほどの音質でじゅうぶんな端末だとメーカーが判断すれば採用は見送られます。実際、Android 8.0対応をうたうAndroid端末のすべてでLDAC/aptX HDがサポートされているわけではありません。

なお、Android OSのソースコードを管理するAOSP(Android Open Source Project)へ寄贈されたのは、LDACとaptX HDのエンコーダの部分(オーディオデータを圧縮/符合化する処理)です。エンコーダはソフトウェアであり特定のハードウェアに依存しませんから、将来のアップデートでサポートされる可能性はありますが、ソースコード非公開で有償のデコーダ部分を搭載したオーディオ機器(ex. ヘッドホン/イヤホン)の数が増えて市場が賑わわなければ難しいのではないでしょうか。

  • Android 8.0対応端末のすべてで「LDAC」と「aptX HD」がサポートされるわけではありません(写真はイメージです)