説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「ファイル」アプリはiCloudを見るためだけのもの?』という質問に答えます。

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iOS 11で登場した『ファイル』は、クラウド上のストレージ領域「iCloud Drive」を利用するためのアプリです。iOS 10まで存在した『iCloud Drive』アプリの特長を引き継いでいるため、iCloud上に保存した画像やPDFといった書類をプレビューしたり、タグを設定して書類を分別管理することができます。

従来にない特長としては、サードパーティー製アプリを統括する機能が挙げられます。DropBoxやGoogleドライブ、OneDriveといったクラウドストレージにアクセスするアプリをインストールしている場合、『ファイル』アプリの「ブラウズ」タブに場所として表示され、保存されている書類の閲覧や各種アクション(アプリにより異なります)を指示できます。iCloud以外のクラウドサービスを利用できるわけですから、"iCloudを見るためだけのもの"でないことは確かです。

ほかのアプリから共通の方法で書類を送信できるようになったこともポイントです。たとえば、『写真』アプリで保管している写真をクラウドサービスへアップロードしたい場合、対象の写真を表示して共有メニューを開き「ファイルに保存」をタップすると、サードパーティー製クラウド対応アプリへ直接送信できます。アプリによっては、書類を送信した直後に他のパソコン/スマートフォンからWEBブラウザなどで閲覧できるようになりますから、クラウドサービスの使い勝手を大幅に改善してくれる存在といえそうです。

クラウドサービスと連動していないアプリでも、『ファイル』アプリの作業対象になります。共有メニューで「ファイルに保存」をタップしたとき、「このiPhone内」に表示されるアプリに限定されますが、iPhoneストレージ上のアプリ専用領域に書類を送信するので、インターネット接続がない状態でも利用できます。この点からしても、iOS 10までの『iCloud Drive』アプリから大幅に機能が強化されたといえます。

  • iOS 11で登場した『ファイル』アプリは、他のアプリの専用領域にアクセスすることも可能です