米Appleは1月24日 (現地時間)、iOS 11のアップデート「iOS 11.3」の概要を公表した。ARKitの強化、新しいバッテリー管理ツール、Health Records、アニ文字の新キャラクター、Business Chatなど、数多くの新機能を追加するアップデートになる。24日からiOS Developer Programメンバーへの開発者向けプレビューを開始、パブリックベータプレビューを経て、今春にリリースする予定。

iOSデバイスを使ったAR (拡張現実)体験を可能にしたARKit。昨年秋にiOS 11と共に登場したARプラットフォームが早くもARKit 1.5にアップデートされる。ARKitは仮想オブジェクトをテーブルや床のような水平面にしか置けないなど、シンプルな拡張から始まったが、バージョン1.5になって壁やドアなど垂直面を認識してマッピングするようになる。たとえば、ポスターや看板、アートワークなどを認識できるようになり、美術館におけるインタラクティブなAR体験を加えた展示など、新たなARKitの世界が可能になる。ほかにも、円形のテーブルのような不規則な面の認識とマッピングが向上。カメラでキャプチャしてiOSデバイスの画面に表示される現実世界の解像度が50%向上し、オートフォーカスのサポートによって、よりシャープな遠近感で表現されるようになる。

  • ARKitが1.5に

    ARKitが貼られているポスターやアートワークなどを認識

昨年12月、経年などによるバッテリーの劣化で予期しないシャットダウンが起こる可能性への対処として、Appleが一部の機種で端末のピーク性能を動的に変化させていることが明らかになった。その変更をAppleが事前に公表していなかったことから、影響を受けたユーザーが訴訟を起こす問題に発展していた。新たに追加されるバッテリー管理ツールは、その問題への対処の1つである。

iPhone 6以降の端末で「設定」の「バッテリー」項目に追加され、ユーザーが簡単にバッテリーの健康状態をチェックできるようにし、バッテリーの劣化が使用体験に影響する可能性があれば、バッテリー交換を推奨する。また、ピーク性能を動的に減速させる対策が行われたiPhone 7シリーズ、iPhone 6sシリーズ、iPhoen 6シリーズ、iPhone SEでは、その電源管理機能のオン/オフをユーザーが切り替えられるようにする。

Health Recordsは「ヘルスケア」アプリにおいて、検査結果や投薬といった医療機関が提供する医療データを含めて、健康に関する情報をわかりやすくまとめたスナップショットを提供する。ユーザーは運動の記録や身体測定といった日頃収集しているデータに加えて、複数の医療機関からのデータもひとまとめにして自分の健康状態を確認し、そして記録していける。iOSプラットフォームの特長である徹底したプライバシー保護を活かした新機能であり、Health Recordsのデータは暗号化され、パスコードによって保護される。iOS 11.3の開発者向けプレビュー段階で、Johns Hopkins Medicine、Cedars-Sinaiなど12の医療機関でHealth Recordsを利用できるようになっており、数カ月の間にサポートする医療機関がさらに増加するという。

  • Health Records

    健康に関するデータの管理を変える「Health Records」

パンダやキツネ、ロボットなどイラストで描かれたキャラクターが、ユーザーの表情に合わせて動くアニメーション・メッセージを作成できるアニ文字。iTrueDepthカメラの顔認識を活用した機能で、iPhone Xの「メッセージ」アプリで利用できる。そのアニ文字のキャラクターに、ライオン、クマ、ドラゴン、スカルの4種類が追加され、全部で16種類のキャラクターを使えるようになる。

  • アニ文字の新キャラクター

    アニ文字の新キャラクター、ライオン

Business Chatは、ビジネスが「メッセージ」アプリでの会話を通じて、顧客を直接的にサポートする機能。ユーザーは、製品に関する質問をしたり、店舗でのサポートの予約、探していた製品をメッセージ内からApple Payを使って購入といったことを行える。iOS 11.3公開時点で、Discover、Hilton、Lowe’s、Wells Fargoなどがパートナーとなって提供される。

  • Lowe'sのBusiness Chat

    店舗で質問するように「メッセージ」アプリでDIYストアLowe'sのサービススタッフに質問、見つけた商品をApple Payで購入

これらのほか、Apple Musicにおいて全ての音楽ビデオが広告に邪魔されることなくのストリーミング再生されるようになる。Advanced Mobile Location (AML)に対応する国において、警察や消防、救急などの緊急サービスへの連絡時に利用者の現在位置が自動的に送信されるようにAMLをサポート。また、開発者がプライバシーやセキュリティーを保護しながら既存のデバイスをHomeKitに対応させられるように、HomeKitソフトウエア認証を改善した。