日立製作所(以下、日立)は、MEMS1技術と回路技術を高度に融合することで、地盤や構造物からの微小振動を高感度かつ低消費電力で検出できるMEMS加速度センサーを開発したことを発表した。

  • 試作したMEMS加速度センサーを構成する、制御IC、検出IC、MEMS素子(左)と、MEMS素子の錘(右)

    試作したMEMS加速度センサーを構成する、制御IC、検出IC、MEMS素子(左)と、MEMS素子の錘(右)

OTとITの融合のキーとなるセンサーには高い性能が求められている。例えば、石油や天然ガスの探査では、自動車などに搭載されている加速度センサーに比べて1000倍以上の感度が必要となる。さらに、次世代の資源探査では消費電力の大幅な削減が求められている。しかし、従来のMEMS加速度センサーでは、回路のノイズを低減するために消費電力を2乗に比例して増やす必要があり、高感度化と消費電力の低減を両立することは困難であった。

そこで日立は、MEMS技術と回路技術を高度に融合することで、高感度かつ低消費電力なMEMS加速度センサーを開発した。これは、複数の貫通孔を設けた独自の錘(おもり)構造により低ノイズ化を実現するMEMS技術や、錘の動きの制御と検出を並行動作させる独自方式により低電力化を実現する回路技術により、資源探査に適用可能な高感度(ノイズレベル30ng/√Hz以下)を、従来の半分以下の消費電力である20mWで実現できる。

これにより、大規模かつ低消費電力が必要とされる地盤や構造物の微小振動の検出などの場面において、MEMS加速度センサーの適用が可能となる。

  • 開発したMEMS素子の構造

    開発したMEMS素子の構造

日立は今後、開発したセンサーを次世代の資源探査やインフラモニタリングなど、高感度かつ低消費電力で振動を計測することが求められるアプリケーションに適用し、快適で安心・安全な社会の実現に貢献するとしている。

なお、この成果の一部は、1月21日〜25日に英国で開催されている「IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems」で発表される。