STマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、高速充電に対応した最新の業界標準に準拠し、モバイル機器のワイヤレス充電性能が向上するIC「STWBC-EP」を発表した。同製品は32リードQFNパッケージ(5×5mm)で提供され、単価は約2.50ドル(1000個購入時)。

  • 「STWBC-EP」

    「STWBC-EP」

スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を使用する際、ワイヤレス充電なら充電器やモバイル・バッテリを持ち運ぶことなく、電源ケーブル使用時と同等の速度で電子機器を充電できる。また、モバイル機器には、休憩や会議中などのわずかな時間に充電し、すぐに使用できる状態になることが求められている。

こうした需要に対応するため、Qi規格を管理するWireless Power Consortium(WPC)は、 幅広く採用されている業界標準に対して、高速充電向けのExtended Powerプロファイルを追加した。これにより、最大充電電力が5Wから15Wに増強され、最大3倍速で機器を充電できる。

STWBC-EPは、Qi Extended Powerに対応したワイヤレス充電制御IC。スタンバイ時の消費電力をわずか16mWに抑えた電力効率を実現すると共に、ST独自の機能を採用して機器の操作性を向上させている。

例えば、自動検出機能を強化するソリューションを用いることで、充電時に対応機器を近づける際にシステムを迅速に起動させることができる。この特許技術は、異物検出機能の性能も強化しているため、充電器の近くに金属を含む物体が存在すると充電を止めて過熱を防ぐ。また、電力制御と充電性能を強化する独自技術により、効率と利便性が大幅に向上している。

さらに、同製品は充電器の設計を簡略化できるほか、5VのUSB電源から12Vまでの電源電圧範囲で動作する柔軟性も兼ね備えている。設計者が製品開発期間を短縮できるように、STは評価キット(15Wトランスミッタ・ボード、 電源、 ケーブルを同梱)と関連資料で構成される開発環境や、機器側で使用する高速充電用の15WレシーバIC(STWLC33)も用意されている。

STのインダストリアル & パワー・コンバージョン事業部ジェネラル・マネージャであるDomenico Arrigo氏は、 次のようにコメントしている。「STの先進的なワイヤレス充電ICを使用することにより、 機器メーカーは高機能かつ高効率で、 高出力の新製品を開発できます。 Qi Extended Powerにより、 充電時間が劇的に短縮され、 STの検出性能と安全性に関する特許取得済みの革新技術を通じて、 安全性と使いやすさが大きく改善されます。 」