希望は、安定? 「鉄コン林間学校 in 浦和美園」

埼玉高速鉄道と東京メトロの共同企画「鉄コン林間学校 in 浦和美園」が12月16日に開催された。過去2回開催され、好評だったという浦和美園駅での「鉄コン」。これまでに多数のカップルが誕生し、うち2組が結婚している。

  • 「鉄コン林間学校 in 浦和美園」は浦和美園駅で開催。埼玉高速鉄道2000系がホームに

今回の「鉄コン林間学校 in 浦和美園」では、参加する男性に関して20歳以上45歳未満で鉄道会社に勤務する独身者との制限を設けている。女性は一般から公募した。男性は341名の申込みがあり、女性はさらに多く、574名の申込みがあった。その中から男女各100名が選ばれ、出会いの場に参加することになった。

開会前、参加者に話を聞いてみると、女性からは「鉄道会社の人は魅力的」「もちろん彼氏を見つけたい」という意欲的な声が聞かれる一方、男性からは「鉄道会社は男ばかりで出会いがない」「出会いを見つけたい」という切実な声が聞かれた。男性が多く、不規則な勤務体系と思われがちな職場であるものの、経済的な安定度は高いであろう鉄道会社勤務の男性たちは、今回のイベントに大きな期待を寄せている様子だった。

  • 「鉄コン」参加者を歓迎するクリスマスツリー

  • 思いを込めながら名札を書く

  • 結婚したら使えるきっぷ

女性側の安定志向は高い。婚活市場では安定した大企業や公務員の人気が高く、そういったところに勤務する男性が選ばれる傾向にあるという。一般的な婚活パーティーでは、男性側のほうが参加費が高い。それでも女性はなかなか集まらない。しかし男性側に一流企業勤務や公務員といった限定条件が付くと、参加費が上がっても女性が集まりやすくなる。こういった構造が、一般の婚活イベントにはある。

鉄道会社といえば一般的な認知度も高く、経済的にも安定しているのではないかと考えられている。そんな鉄道会社勤務の男性を結婚相手として選ぶのは、安定重視の結婚生活を送る上では良い選択かもしれない。そう考えると、今回のイベントで多くの女性が参加を申し込んだのもうなずける。

なぞなぞを解き、すき焼きをつくる

「鉄コン林間学校 in 浦和美園」はまず「一緒に見つけたらすきになる?! すき焼きメイン食材争奪! 食材探し」からスタート。戸塚安行駅、新井宿駅、鳩ヶ谷駅に掲示されている鉄道クイズ(なぞなぞ)を探し出し、クイズを解いて正解すれば食材チケットを獲得できる。そのチケットを持って会場(浦和美園駅3番線ホーム)に戻り、食材をもらう。

  • 正解は「九円」「九州」「カメラ」

戸塚安行駅へ向かう参加者に付いて行くと、やがてその参加者は駅構内を迷いながら探し始めた。ようやく、なぞなぞの問題が掲示されているところを見つけ出す。駅にいた他の参加者たちも集まり、みんなで問題を考えている。解答がわかった参加者は駅事務所に行き、解答を見てもらう。正解だと食材チケットがもらえる。

浦和美園駅の食材配布コーナーで参加者を待っていると、一番高いランクの肉をもらえるチケットを持って来る人は少なく、多くが真ん中のランクのチケットだった。ここで男性側が「肉食系」でいいところを見せればいいのに。そんな人たちのために、「男気コーナー」として最上級の肉を5,000円で販売するコーナーもある。だが、みんなが5,000円をポンと出すわけではない。ここで出せれば……と見ている側として考える。

  • 最上級の常陸牛をゲット

  • 最上級の常陸牛ですき焼きづくり

食材配布コーナーで配布された肉や野菜を使い、参加者たちですき焼きを作ることになった。会場は駅構内なのでガスコンロや炭火を使うわけにはいかず、発電機を使用し、グリル鍋で調理する。すき焼きを作るという共同作業の中で、参加者同士がお互いのことを知ることができたようだった。

本気のまくら投げ大会&怪談

食後は「林間学校」にちなみ、まくら投げ大会が行われた。チームに分かれ、全日本まくら投げ協会の公認枕を使用し、全日本まくら投げ大会の競技ルールに則って行う。

まくら投げ大会は白熱し、男女問わず本気でまくらを投げる。空をまくらが行き交う。会場は列車が停車するホームだが、安全ネットなどが貼られ、まくらが列車の屋根に乗るようなことがないように工夫されていた。

  • 本気のまくら投げ

その後、怪談師のやまぐちあやこさんが怖い話を披露。「林間学校」としての雰囲気が一層盛り上がった。そしてフォークダンス。照れているのか、それとも学校を卒業してから長いせいでフォークダンスを忘れてしまったのか、オクラホマミキサーをうまく踊れない参加者もいたようだった。それでも手をつないで仲良くなれたことが、多くの参加者にとって良かったのではないか。

11組のカップル成立、イベントは大成功

告白タイムでは11組のカップルが成立した。男女ともに100名が参加した中で、カップル成立が1割を超える。これは、婚活イベントではなかなかない数字といえる。

カップルが成立した中で、男性のひとりが「今日は楽しめればいいと思っていたけど、自分が対象になるとは思っていませんでした」と語った。その男性とカップルになった女性も、「鉄道会社で働いている人からおもしろい話を聞けたらと思って参加したら、選んでいただけるとは思っていませんでした」と話していた。

  • カップル成立。おめでとう!

今回のイベントを担当した埼玉高速鉄道運輸部の田村大輔氏は、「今後もイベントをやりたい」と話し、イベントの趣旨について「鉄道会社は地域に根ざした会社なので、普段どんなことをしているか見てほしい。その上で、より鉄道を身近に感じてほしい」と説明した。鉄道会社で働く人たちに出会えるというだけでなく、彼らに親しみを持ってもらえる場こそ必要。その意味でも、このイベントは大成功だったといえるだろう。