日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月13日、都内で記者会見を開き、モジュラー型インメモリコンピューティングプラットフォーム「HPE Superdome Flex」の販売を開始したと発表した。価格は税別で1490万5000円~。

  • 「HPE Superdome Flex」の外観

    「HPE Superdome Flex」の外観

新製品はモジュラー型ラックマウントでサイズは5U、プロセッサはインテル Xeon Scalableプロセッサ、プロセッサ搭載数はシャーシあたり4つ、最大32CPU/896コア、メモリ容量は最大48TBととなり、99.999%の可用性を確保。ミッションクリティカル用途向けの最新のインメモリコンピューティングプラットフォームであり、「HPE Integrity Superdome X」の信頼性と、買収したSGIの「SGI UV300」で可能になった高性能データ分析用の拡張性を組み合わせている。

  • 「HPE Superdome Flex」の概要

    「HPE Superdome Flex」の概要

冒頭、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は「将来的なデータの増加に対し、これまでコンピュータのアーキテクチャに限界があった」と指摘。このような現状を踏まえ、同社では数年前からメモリ主導型コンピューティング「The Machine」プロジェクトに取り組んでいる。The Mchineは、従来のプロセッサ中心のアーキテクチャから、メモリを中心としたコンピューティングとし、処理能力・性能の向上を実現するものだという。

  • 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

    日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

同氏は、メモリ主導型コンピューティングに必要となる技術要素として「処理速度の向上とエネルギー効率の促進のためにメモリとストレージを1つにする『高速な永続性メモリ』、距離の制限をフォトニクスを使用して距離の制限をなくし、不可能だったトポロジーを生成する『高速メモリファブリック』、全般的なタスクから特定のタスク処理を最適化する『タスク特化処理』、徹底的にプログラミングをシンプルにして従来できなかった新しいアプリを可能にする『新しく順応したソフトウェア』の4つだ」と、強調した。

  • 必要となる技術要素の概要

    必要となる技術要素の概要

同社では、新製品をインメモリコンピューティングの次の10年を担うプラットフォームとして位置づけており、SAP HANA、Oracle、SQL Server、インメモリHPCなどのワークロードをターゲットにしているという。

続いて、SAP ジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏は、Superdome Flexに期待することとして「HPEとは27年以上にわたって緊密なリレーションを築いており、これまでHPEでは1万2000台のHANAを出荷している。また、われわれの大規模ユーザーであり、S4やHANAも含め、自社で活用している。HANAが求める要件は高速なCPU性能に加え、よりエンタープライズモデルでの活用を目指しているため、高可用性も必要となる。従来から、われわれではThe Machineの取り組みに注目しており、Superdome FlexはSAPの方向性と合致しているのではないだろうか」と述べた。

  • SAP ジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏

    SAP ジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏

新製品の特徴として、拡張性を実現するx86ノードコントローラ技術「Supedome Flex ASIC」、8ソケット以上の構成を可能にするコネクタポート「Superdome Flex Grid」、リカバリエラーを回避する「PCIe Live Errorリカバリ」、クラスタリングソフトウェア「HPE Serviceguard」などを挙げている。

Superdome Flex ASICはCPU間をつなぐことで最大32CPUまで拡張できる。また、Superdome Flex Gridを活用することでXeon ScalableのXeon Goldを8ソケット以上を搭載可能とし、8ソケット以上の構成でGoldを選択できるのはSuperdome Flexのみとなっており、Xeon Platinumと比較したコストは5分の3に削減可能だという。

  • Superdome Flex ASICの概要

    Superdome Flex ASICの概要

  • Superdome Flex Gridの概要

    Superdome Flex Gridの概要

  • Xeon GoldとXeon Platinumの比較

    Xeon GoldとXeon Platinumの比較

PCIe Live Errorリカバリは業務停止につながる生涯を自動修復するリカバリ機能。一般的なx86サーバはデータリクエストした際にカードが交渉していた場合、不良データをそのままOSに返すため、不良データが到達するとデータ保護のために再起動するが、PCIe Live Errorは不良データがOSに届く前に感知し、カードの初期化を実行した上で正常な状態に復帰する。

  • PCIe Live Errorリカバリの概要

    PCIe Live Errorリカバリの概要

HPE Serviceguardは、自社開発のクラスタリングソフトウェアであり、元々はUNIXのOSであるHP-UX向けに開発し、現在ではLinuxもサポートしている。組み合わせのテストを厳密に実施しており、確実な切り替えを可能としており、Superdome Flexとの組み合わせで99.999%の高可用性を実現しているという。

  • HPE Serviceguardの概要

    HPE Serviceguardの概要

新製品の拡販施策「企業内データベース棚卸アセスメントサービス、インメモリデータベース促進、メモリ増設キャンペーン、Flexible Capacityを活用したコンサンプションモデルの3つとなる。

企業内データベース棚卸アセスメントサービスは、企業内で使われていない、捨てられているデータを棚卸し、データを利活用できるシステムのデザイン支援を実施する。また、インメモリデータベース検証センターでインメモリデータベースに知見が深いエンジニアが検証、ハードウェアサイジングを支援し、従来から行っているSAP HANAのほか、SQL Server、Oracle DBにも対応する。

インメモリデータベース、メモリ増設キャンペーンは、インメモリデータベースを利用する顧客・パートナー限定となり、システム構成のメモリ容量を20%増量で提供。Flexible Capacityを活用したコンサンプションモデルは、ハードウェアリソースの利用料に応じて課金するクラウド型の従量課金するクラウド型の従量課金サービスを提供する。