朝起きたら子どもが鼻水を垂らしていたり、咳をしていたりしたことはありませんか? 大人でも寝ている間に風邪を引いてしまったことがある人は多いですよね。寝ているときは本当に風邪を引きやすいのでしょうか。今回は、就寝時の風邪対策について小児科医の竹中美恵子先生に聞きました。

  • 寝ている間に風邪を引きやすい

    寝ている間に風邪を引きやすいって本当?(画像はイメージ)

Q.寝ている間に風邪を引きやすいって本当ですか?

朝起きると喉が痛いという経験をしたことのある人は多いと思います。そういう場合、口を開けたまま寝ていて、喉が乾燥してしまうのです。喉が乾燥するとそこにウイルスが入り込みやすくなるため、結果的に風邪を引いてしまうことがあります。

また、かいた寝汗が冷えてしまい、それが体の冷えに繋がり、風邪を引いてしまうこともあります。そういった意味では、寝ている間は風邪を引きやすいと言えると思います。

Q.子どもは寝ている間にどれくらいの汗をかくのですか?

子どもは1日に大体200㏄、コップに約1杯分の汗をかくと言われていますが、この量は実は大人と変わりません。ただ、体積当たりの量を比べると、大人より子どもの方が汗をかきやすいと言えるでしょう。

Q.なぜ子どもの方が汗をかきやすいのですか?

子どもは大人よりも体温が高くて代謝も良く、体に占める水分量も70%以上と高い割合です。さらに、体温調節機能が未熟なため、少しの温度変化にも反応しやすいという特徴があります。そのため、大人と比べて汗をかきやすいと言えます。

Q.寝るときの服装や寝巻きの素材の選び方で気をつけた方が良い点があれば教えてください

夜中の気温が低いからといって、重ね着などの着せすぎには注意しましょう。

寝巻きの素材については、綿がおすすめです。汗を吸収しやすく、熱を外に逃がす役割が期待できます。フリース生地は熱がこもりやすく、汗をかいたときも吸水性が良くないので、直接肌に触れるような着方は避けた方がいいと思います。

Q.着る毛布などの防寒具もありますが、利用するときに気をつけることはありますか?

利用するのはいいと思いますが、やはり体の温めすぎには注意しましょう。布団をかけてもはいでしまうという親の心配はありますが、子どもは暑くて布団をはいでいると考えることもできます。

着る毛布は自分で寝ている間に脱ぐことが難しく、熱がこもってしまう可能性があります。子どもが汗をかいていないかどうか、こまめに確認してください。鼻の頭や額だと、汗のかき具合を確認しやすいと思います。

Q.寒い時期に、室温はどれくらいに保つのがいいですか?

個人差があるのではっきりとしたことは言えませんが、気温との差があまり大きくなりすぎない方がいいでしょう。温度だけでなく湿度の管理も重要です。湿度とウイルスの感染力は相関性があると考えられており、50%以上の湿度を保つと、ウイルスの95%が感染力を失うと言われています。

暖房器具を使用する時は、加湿器を合わせて使うなど、工夫が必要です。オイルヒーターなど、空気を乾燥させにくく急な温度変化も少ないタイプの暖房器具を使うのもおすすめです。

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。