『EUREKA』『東京公園』などで知られる青山真治が監督を手がけ、4人の実力派俳優が主演を務めたオムニバスドラマ『最上のプロポーズ』が、5月20日よりBeeTVとdビデオにて配信されている。

プロポーズにまつわる4つの物語『最上のプロポーズ』

ドラマ『最上のプロポーズ』は、"花を贈ると必ず幸せになれる"と噂のフラワーショップ「マリエッタ」を舞台に初恋、一目惚れ、奇跡を信じる恋、そして恋の修復をテーマに、それぞれ幸せを信じる4人の男たちのプロポーズにまつわる物語を追った恋愛オムニバス作品。主演は、向井理、斎藤工、金子ノブアキ、小出恵介の4人で「プロポーズ」に向かう男性の複雑にかつ繊細に揺れ動く感情の機微を熱演している。今回は、本作で描かれている各エピソード、そして俳優陣について青山監督に話を伺った。

青山真治監督
1964年7月13日生まれ。福岡県出身
大学卒業後にフリーの助監督として、ダニエル・シュミット、黒沢清のもとで学ぶ。『Helpless』で商業映画デビューを果たし、監督作品『EUREKA』で、カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞・エキュメニック賞を受賞。代表作は『東京公園』『Helpless』『EUREKA』『サッド ヴァケイション』など
撮影:Sketch

――まずは斎藤工さん、美波さんによるエピソード1「スノウドロップ」です。

青山監督:「このエピソードにでてくる二人はどちらも臆病者なんですよね。恋愛に臆病な二人の男女が、それぞれの臆病な気持ちを勇気をもって克服していくタイムリミットがきた話です。斎藤くんはすごく真面目でストレートで、優秀なアスリートみたいなストイックなところが印象深かったですね。自分なりのプランを持ちつつも、こちらの指示にも躊躇なく応えられるキャパを持っている、瞬発力や飲み込みの早さがありました。

――美波さんについてはいかがですか。

青山監督:僕の女房(とよた真帆)が共演したということもあって、彼女の芝居はよく知っていました。彼女が出演すると聞いて、このキャラクターはこういう風になるだろうな、と予想した通りになりました。ですから僕としてはすごくやりやすかったですね。彼女は"気持ち"を重要視する人なので、『自分がこの気持ちの時にこのセリフは言いたくない』ということもでてくる。でも、役者としてそれは正しい反応だと思うので、躊躇なくすぐに現場で変えていきました。僕の現場ではスタッフ、キャストともども"フレキシビリティ"がモットーなので(笑)

――エピソード2は金子ノブアキさんと入山法子さんの「アイリス」です

青山監督:金子くんはとてもきちんとキャラクターを作ってきてくれましたので、後はこっちで固めるだけでした。今回の作品では"衣装"が裏テーマとしてあって、時代劇とは違う、現代におけるコスチュームプレイを目指したんです。

ですから斎藤くんはずっとスーツ姿で最後に普段着だし、金子くんなら白衣、小出くんは革ジャン、向井くんは最後に1シーンだけスーツといった具合に、彼らの衣装にはこだわりました。エピソードとしては、金子くんとムロツヨシくんの役柄は友情があるからこそ成立する話だと思うので、ぜひその部分にも注目して見て欲しいですね。……続きを読む