背景

煩雑を極めるソフトウェアライセンスの管理。一方で、ソフトウェアの著作権保護はさらに厳格化され、不正使用が明らかになった企業は増加の一途をたどっています。最近では大手企業や官公庁、企業規模に関係なくライセンス調査が行われており、従業員100名程度の中小規模企業でも不正使用の疑いがあるとして裁判所による証拠保全手続きを実施されるケースが目に付きます・・・。

課題・問題

取引先がソフトの違法コピーで「業務停止」、自社も対策に乗り出すが・・・

N社は、各種商業印刷をはじめ、ノベルティやデジタルコンテンツ制作などを手掛ける印刷・デザイン会社。このほど同社では、社内で使用しているソフトウェアライセンスの管理について、重大な課題を抱えることとなりました。

というのも、取引先企業でソフトウェアの違法コピーが発覚し、想定していた金額以上の多額の賠償金を請求される事態となったのです。結果、その取引先は和解金の支払いだけでなく、和解に至るまでの期間、調査対応により通常業務に大きな支障が出るなど、通常業務に大きな支障が出るなど、予想以上の打撃を受けることに。

こうした話を聞いたN社の上層部は、急きょソフトウェアの違法コピー防止について対策を練るよう指示を出しました。しかし、通達を受けた総務部では戸惑いを隠せませんでした。総務部課長C氏はこう語ります。

「これまでソフトの使用については従業員のモラルに任せっきりの状態で、ほとんどノータッチでした。対策に乗り出すといっても、何から手を付けたらいいのかさえ分かりませんでした」

ソフトの導入・管理は"従業員まかせ"・・・不正使用を把握できず

C氏らがざっと試算したところ、N社の保有するPCは300台あまり。その中に少なくとも1,200種類のソフトウェアが稼働していると思われました。

「Microsoft Officeなど社内の全PCにインストールされたソフトに加え、各部門が独自に画像編集ソフトなどを多数導入していました。実態を把握しようにも、1台1台のPCを回って製品名からバージョン、管理対象の要否などを調べるにはとんでもない工数がかかってしまいます」(C氏)

加えて、不正使用を防止するためには、購入したライセンスと実際に稼働しているソフトウェアのインストール状況を突合せる必要があります。しかし、アップグレード/ダウングレードライセンス、プリインストールライセンスといった複雑/多種多様なライセンス形態が作業を阻むことに。

「ソフトごとに使用許諾書を読み解いて突合せていくなど、とても業務のかたわらに行えるものではなく、途方に暮れるしかありませんでした・・・。このままではいつ不正使用が起きてもおかしくない状況でしたので、早急に有効な対応策を探す必要がありました」(C氏)

課題・問題のポイント

■ソフトウェアの導入・管理は従業員まかせで、一元的な把握・管理ができない
■膨大な稼働ソフトウェアの種類を把握するためには多大な工数がかかる
■ライセンス形態は複雑で突合せ作業は非常に困難
■不正使用が行われても管理者側が知る術がなく危険な状況