【特別企画】
室内撮影の基本
子供や親子の表情を室内で撮るために
2008/3/24
「That's撮れ録れフォトコンテスト」の第5回目は、「幸せ」「道」「自由課題」と3部門で開催する。カメラの購入理由の大半は、「子どもが生まれるから」や、「旅行に出かけるから」など、嬉しい楽しい出来事だったりする。今回は、身近な幸せの光景を撮る室内撮影術を紹介しよう。
新募集要項をおさらい
5回目を迎える「That's撮れ録れフォトコンテスト」。今回から募集要項が若干変更された。幸せなシャッターチャンスを捉える話の前に、第5回目の募集要項をおさらいしたい。
一番大きく変わったことは、募集部門が増えたことだ。第1〜4回目までは、「風景(第1回)」、「表情(第2回)」、「和(第3回)」、「旅(第4回)」と、1部門のみの募集だったが、第5回コンテストは、「道」、「幸せ」、「自由課題」と3部門が設けらた。もちろん同時応募も可能だ。応募可能枚数は1部門最大4枚、3部門応募すると最大12枚まで増えるから、受賞チャンスも増えたことになる。
また、以前は1枚の作品のみが応募対象だったが、今回から組写真の応募も可能になった。ここで気をつけて欲しいのが枚数だ。1部門の最高応募枚数が合計で4枚までに限られる点は変わらない。だから3枚1組の組写真と1枚作品の同時応募は可能だが、3枚1組の組写真2組という応募はできないことになる。当然ながら、組写真の最大枚数は4枚になる。もちろん従来どおりの1枚作品を4点応募してもいい。
設けられる賞にも、新たに「読者賞」と「学生賞」が追加された。読者賞とは、一次審査を通過した作品(200枚程度)から読者投票で決定する賞だ。読者投票は6月第2週スタートを予定している。投票方法などの詳細は期間が近づいたらコンテストページに掲載される予定だ。「学生賞」とは、すべての作品審査が終わったあとに、学生(予備校生、専門学校生含む)から応募された作品だけ集めて、再び審査を行って決定する賞。もちろん学生が上位入賞をすることもあるので、学生賞とは受賞チャンスが増えたと思って欲しい。
コンテスト投稿についての疑問は、コンテストページのヘルプにまとめてあるので、応募前に1度目を通しておくといいだろう。
| 家の中は小さな幸せがいっぱい | ||
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プレゼントなど幸せモチーフと一緒に撮影すると、幸せなイメージが湧きやすい |
幸せな光景は家の中にもたくさんある。くつろいでいる姿も小さな幸せだ |
外からの光が差し込む窓際は、室内撮影でもかなり明るいのでオススメの撮影ポイント |
身近な幸せを捉える室内撮影
「幸せ」というテーマの写真を考えてみると、幸せの価値観は十人十色。美味しいものを食べたとき、好きな人と一緒にいるとき、子どもの安らかな寝顔を見たとき、ペットの可愛らしい仕草を目撃したとき……など、人の幸せの感じかたは色々ある。その中でも、家でくつろいでいるときは身近な幸せを感じることが多く、家庭でしか撮れない「幸せな光景」があると思う。例えば、孫を抱いている祖父母の慈しむ表情や、一緒に遊んでいる姉弟の笑顔、家族みんなで食卓を囲んでいる光景などだ。そこで今回は室内撮影のポイントを紹介したい。
室内撮影は、屋外撮影より光の量が圧倒的に少ない。そのため手ブレや被写体ブレが起きやすい状況にある。これをなんとかフォローするのが室内撮影の第一歩だ。例えば撮影場所が変えられるなら、少しでも明るくなるように、自然光が入る窓際に移動して撮影するのがいい。窓からの自然光がプラスするだけで明るさは大きく変わってくる。また自然光を入れると、蛍光灯だけの味気ない光より、自然な印象で撮ることができる。
被写体が動かない風景撮影や小物撮影では、シャッタースピードが遅くなっても被写体ブレの心配がないから、三脚でカメラを固定して撮影するのが一般的なのだが、動くことの多い子供やペットなどの撮影では、三脚が使えないことも少なくない。
最近のカメラは、手ブレ補正機構を搭載している機種がほとんどだ。手ブレを抑えるためには有効だが、被写体が動いている場合、この被写体ブレを防ぐことはできない。被写体の動きを止めるには、シャッタースピードを速くするしかないのだ。カメラを意識していない自然な姿を狙うのであれば、1/100秒から1/200秒くらいのシャッタースピードで撮影すればまず被写体ブレはまず起こらない。被写体が止まっていれば、1/30秒程度の遅いシャッタースピードでも撮影できるだろう。シャッタースピードを気にせず撮影するのなら、シャッタースピード優先モードがオススメだ。
しかし、室内で1/100秒や1/30秒といったシャッタースピードが稼げるかどうかが問題になる。設定はできるが、室内では光量が不足して暗くなってしまうことが多いのだ。そうなったら次で紹介する高感度や、明るいレンズが必要になってくる。
カメラ内により光を取り込む高感度撮影
速いシャッタースピードで撮影するには、撮影する感度(ISO感度)を上げるのが有効だ。例えばISO 100+1/15秒で適正な明るさなら、ISO 200+1/30秒でも同じ明るさになり(絞りが同一の場合)、シャッタースピードは2倍の速さにできる。さらにISO 400なら1/60秒と、感度に比例してシャッター速度は上げられる。
では、ISO感度が高いほうがいいのかというと、そうともいいきれない。高感度ではノイズが発生するからだ。高感度ノイズはザラつきや、本来はないはずの色のつぶつぶとして現われる。最近ではこれを抑える技術も高度になってきて、かなりの高感度で撮影しても目立たなくなった。しかし上げ過ぎたらノイズが現われるのは変わらないのだ。
ISO感度をどこまで上げていいかはカメラによって変わってくる。目安としては、最高感度から2〜3段下げたところまではノイズが少ないことが多いようだ。例えば最高でISO 3200が可能なら、そこから2段下げるとISO 800になる。このあたりが目安だろう。一度、感度を変えて撮影してみて、どのくらいになるとノイズが増えてくるか、試しておくのが確実だろう。また、ISO感度上限設定や高感度ノイズ低減機能は便利なので、上手に活用したい。
ただ、きれいな風景や花ならノイズが絵を台無しにするが、今回「幸せ」のようなテーマなら、ある程度のノイズは割り切ってもいいかもしれない。キレイさよりも、一瞬の動きや表情を捉えたほうがいい写真になることが多いものだ。
| 高感度撮影に便利な機能 | ||
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感度を自動設定にしても、感度の上限や最低シャッタースピードを細かく設定できるカメラもある。自分のカメラでどのような設定ができるか知っておこう |
最新のカメラは対ノイズ性能が上がり、ISO 800〜1600程度まで常用できる |
ノイズ低減機能も、画像の粗を目立たなくするには有効な手段。ただし、強くかけぎると、細部の質感がなくなってしまうので、「標準」や「中」に設定しておきたい |
光を多く取り込む大口径レンズ
レンズが交換できる一眼レフカメラなら、大口径レンズの装着も有効な手段だ。光をたくさんカメラ内に届けることができるので、感度をあまり上げなくても撮影できるようになる。
大口径レンズとは、開放絞り値の値が小さなもの。例えばカメラとセットで販売されているズームレンズでは、開放F値がF3.5あたりのものが多いが、これにF2.8のレンズを付ければ2/3段、さらにF2のレンズにすれば2段近くシャッタースピードが稼げることになる。また、開放F値が大きいということは、絞りが大きく開くということ。すると被写界深度が浅くなり、見せたい被写体を引き立てる効果もある。
室内撮影は、被写体から離れて撮るわけにはいかないので、最短撮影距離が長すぎるレンズは使いづらい。例えば焦点距離85〜105mm程度の中望遠レンズを「ポートレートレンズ」と呼ぶことがあるが、これは室内で使うには長すぎる。30〜75mmあたりの焦点距離が使いやすいだろう。また、室内は被写体に近づいたり離れたりするのもそれほど苦ではないので、30〜50mm程度の明るい単焦点レンズもいい。
また、赤ちゃんなどに思いきり近づいて撮ろうとしても、ピントが合わないことがある。これは最短撮影距離が足らないため。開放値や焦点距離だけでなく、最短撮影距離も気をつけてレンズを選ぼう。
| シグマ 18-50mm F2.8 EX DC MACRO/HSM | |
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室内撮影のオススメ交換レンズのひとつ。ズーム全域でF2.8の開放値。最短撮影距離も20cmと短く、被写体に近づいて撮影できる。サイズφ79×85.8mm、重量450gとコンパクトなボディは機動力も高い。対応マウント: キヤノン、ニコン(HSM)、ソニー、ペンタックス、フォーサーズ。実売価格:5万円前後 |
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内蔵ストロボはあくまで最終手段
暗い場所で内蔵ストロボが発光し、妙に強い影が出たり立体感のない写真になったことはないだろうか? これは主にストロボがカメラに固定されているために起る現象で、内蔵ストロボが根源的にもつ問題でもある。内蔵ストロボの強い影や立体感の喪失は、見た人に不自然な印象を与えることが多いので、できるだけ使わないよう心がけたい。
しかし、使わなければどうしても撮れない状況もあるだろう。夜の記念撮影など、ストロボがなければどうしようもない。ストロボを使って明るすぎる、もしくは光が足らないといった場合は明るさを変更しよう(調光補正)。一眼レフなら、ほとんどのカメラでストロボ発光量が調整できるはずだ。あまり調整幅は大きくないが、テカリを無くすぐらいなら調整できるはずだ。
また、最近の内蔵ストロボは、被写体までの距離からストロボの発光量を調節して、精度もかなり上がってきている。顔認識機能やマクロ撮影機能に対応できる機種も登場している。自分の持っているカメラの内蔵ストロボの性能を知っておくと、いざというときに役立つはずだ。
| 内蔵ストロボの効果の違い | ||
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内蔵ストロボは使わず、窓際でISO 500で撮影。自然光の柔らかい光で撮影したため、自然な印象の写真になった |
内蔵ストロボを使って撮影。影が出て、光も青く、固い写真になってしまった。できるだけ内蔵ストロボを使った撮影は避けたほうが無難だ |
最新カメラでは内蔵ストロボも調光性能が向上して、かなり自然な印象で撮影できる機種も登場した。この写真はニコン D90で撮影したもの |
写真の質は量で決まる
写真家の森山大道氏の言葉に「量のない質はない」というものがある。写真をたくさん撮れば撮るほど、良い写真を撮れる確率が高くなる。つまり、良い写真を撮ったりシャッターチャンスを捉えたりするには、撮りまくるしかないのだ。まずは難しいことを考えず、シャッターを押そう。とくに「幸せ」といったテーマの写真は、いつシャッターチャンスが訪れるかわからない。いつもカメラを持ち歩くか、室内の手の届くところにカメラを常備しておき、山ほど撮るのがいい。デジタルカメラなら現像代やプリント代がかからないから、そういった負担も掛からない。失敗したら削除すればいいのだ。家庭内でいつもカメラで撮っていると、撮られる側も慣れてくるもの。そうすると、自然な表情が写り込んでくる可能性も高くなる。
撮影するカメラは、携帯性を重視するのならコンパクトカメラがだんぜん有利だ。カバンに入れてもかさばらないので、持ち歩くことが苦にならない。カバンから出すのが煩わしいなら胸ポケットに入れておけばいいし、すぐ撮影に反応できる。ただ、シャッターチャンスに素早く反応できても、ピントが間に合わない可能性もある。オートフォーカスの速さや、動いている被写体への追従性などは、コンパクトカメラより一眼レフカメラのほうが有利だ。このあたりは悩みどころ。表現の幅という点でも、コンパクトより一眼レフのほうが細かい設定をすることができ、撮影の意図が反映させやすい。理想は、状況に合わせてカメラを使い分けることだが……。
蛇足ながら、「幸せ」というテーマで気をつけたいのは、独りよがりにならないことだろう。写真を見る側からすると、「あぁ!わかるわかる」といった共感や、「作者が幸せなんだなぁ」と感じられることが重要で、「ウチの子、かわいいでしょう」とばかりに押しつけられる写真はあまりいいとはいえないだろう。ただ、撮影者の感情や思い入れが強い写真も多いだろうから、客観的にはなりにくいかもしれない。悩んだら思い切って他人に選んでもらうのもいい。人に自分の写真を見せて意見を聞くことは、今後の写真を撮る上でも良い経験にもなるはずだ。
まとめ:加藤真貴子(WINDY Co.)
モデル:伊藤莉加 伊藤知良 伊藤優里
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