【特別企画】

構図の基本

イメージ通りの写真を撮るワンポイントアドバイス

2008/3/17

加藤真貴子

「That's撮れ録れフォトコンテスト」の第5回目は、「幸せ」「道」「自由課題」と3部門で開催する。どのような撮影テーマであれ構図は、写真の良し悪しに関わる重要な要素。どんなに良い被写体でも、バランスの悪い構図ではその良さが半減してしまう。とくに「道」というテーマはそれが如実に現れる。ここでは「道」の構図について考えてみよう。

構図の効果を使ってイメージを強める

魅力的な被写体を撮影した後に写真を見て、撮りたかったイメージと違っていたという経験はないだろうか? 見せたい被写体にピントが合っていても、見ていてなんだかピンとこない……という写真だ。写真は「選択の芸術」といわれ、被写体選びからレンズなどの機材、絞りやシャッタースピードの露出など、たくさんの選択肢がある。その中でもフレーム内に被写体を納める「構図」の決定は、撮影者のイメージを見ている人に伝える効果を持つもので、非常に重要な意味を持つ。

構図とは、「広い風景の広がりを出したい」、「まっすぐに伸びる道の奥行きを出したい」、「被写体に迫力を表現したい」、「色のバランスをきれいに見せたい」などの自分の撮影イメージを強め、見た人にも伝わるように画面に配置すること。第4回のコンテスト結果の受賞作品を見てみると、どの作品も素晴らしい構図で、被写体の良さを引き立てていることがわかる。

今回は、第4回のコンテストに応募いただいた作品のなかから構図を効果的に使っている作品を例に、構図について考えていきたいと思う。

画面の広がり表現する水平・垂直構図

はじめに、画面に広がりを持たせる効果がある「水平・垂直構図」を見てみよう。水平・垂直構図とは、画面を水平や垂直に分割したり、水平・垂直軸に合わせて被写体を配置するといった構図のこと。横方向へ伸びる水平線は安定感を表現でき、縦方向へ伸びる垂直線は上下への緊張感を表現する効果を生む。水平・垂直構図で大切なポイントは、水平・垂直に区切る位置や面積のバランスだ。バランスの割合によって印象は大きく変わってくる。

下の3枚は、同じ場所から水平線の位置を変えて撮影したもの。水平線の位置を下に配置した【A】の写真は、空が大きく入り、画面に広々とした印象を与えている。水平線を上に配置した【B】は、道の占める割合が多くなり、どこまでも伸びていく道が強調されている。画面中央に水平線を配置した【C】は、見せたい部分が空なのか道なのかわかりにくい印象になる。構図によって見る人の印象はかなり変わってくることがわかるだろう。次は、応募いただいた作品を例に、水平・垂直構図の実践的な効果を見てみよう。

【A】
水平線を下げると空の面積が多くなり、広い風景を表現することができる

【B】
水平線を上げて地面の面積を多くすると、手前から奥まで続く道が強調される

【C】
水平線を真ん中に配置すると、空と地面の面積が同じになってしまい、見ている人はどちらが主題だかわかりづらい印象を受ける

画面を三分割に分ける構図は、「三分割構図」と呼ばれる。三分割構図は、画面のバランスが安定感がありすぎず、なさすぎず、ちょうど良いとされている。構図を解説するときに、良い構図の例として紹介されることが多い。

【D】の作品は、三分割構図と水平・垂直構図を組み合わせて成功した作品だろう。三分割した位置に、水平線と地平線で画面を3分割し、水平方向にラクダを配置している。横へ広がるイメージから、果てしない旅のイメージが強められているようにも感じる作品だ。ラクダをシルエットで表現されているため、旅の情景がよりドラマティックに仕上げられている。

【E】の作品は上3分の2の画面に垂直要素の木々を配置することで、横構図ながら縦への広がりを感じる画面にまとめられている。また手前の薄暗い石仏から、奥へ行くにつれ光が明るくなっていく明暗差により、上下の広がりとともに奥行きも表現されている良い例だ。

画面を二分割した二分割構図は、安定感がありすぎるため、面白みに欠ける悪い例として挙げられるときがある。しかし【F】のように、意図を持って構成すれば、シンメトリーの美しさが強調されて見える。構図を決めるときは、方法論に囚われず、見ていて気持ちが良いか否かを大切にしよう。

【D】『Camels in the Sunset.』(作者:入江 修)

水平方向に画面を分割し、被写体を配置しすることで、画面の広がり出している

【E】『楠の久保』(作者:山下 義朗)

垂直方向に伸びる木々の隙間から差し込む光をうまく表現している

【F】写真の町 東川町賞 『紅葉と水鏡』(作者:浦野考裕)

選評を見てもわかるように、シンメトリーの美しさが受賞に結びついた

動感や奥行きが強調される斜線要素

写真の画面は四角形だ。水平垂直の枠の中に斜線の要素を入れると、線が傾く方向へ視線が移動しやすく、流感やパースが強調される効果が生まれやすい。また、奥行きを出すには、画面の中に奥から手前に続く要素を入れると、視線が奥へ導かれるていく効果がある。

【G】の作品は、近景のバイク、中景の道、遠景の空と、画面を三分割にバランス良く構成した。地平線までの消失点を結ぶ道が斜線効果で、より奥行きを感じさせている。【H】の作品は、画面右上から斜め下へモノレールを斜線上に配置している。斜線要素であるモノレールを画面全体に入れず、左に余白を作り隅に意味ありげな信号機が配置したことで、動と静の不思議なバランスが保たれているように感じる。【I】でも、斜線要素と取り入れ構内の奥行きを表現し、消失点にテーマを配置して視線を導いている。

【G】『‐旅‐』(作者:内山 文雄)

近景、中景、遠景と手前から奥までバランス良く被写体を配置することで、奥行きを表現している

【H】『モノレール』(作者:横内 教一)

手前から奥まで続く、モノレールを配置。左余白に信号機を配置することで、静的なイメージが生まれる。静と動のバランスがうまくまとめられている

【I】最優秀賞 『門司港駅で』(作者:太野 睦)

構図の構成力、母子の楽しそうな雰囲気を捉える上手さなど、写真の反射神経がとても良いことがわかる1枚

被写体に視線を導く囲み構図

フレーム内に、意図的に額縁のような囲みを作ると、人間の目は自然と囲みの中心へ導かれていく。画面を縁取る囲みには、トンネルや窓枠、木々の隙間などを挙げることができるだろう。囲み構図は、暗い部分より明るい部分が強調されて見えてくる特徴がある。被写体の明暗差や、色のコントラスト比が強いほうがより効果的に見える。また、囲む部分と、主役になる部分の割合も差が大きいほど効果は大きくなる。

【J】の作品は、窓枠を利用した典型的な囲み構図だろう。枠の向こうに見える風景がノスタルジックな色合いのため、絵画的な印象を与えている。【K】の作品は、木々と、背景の光の明暗差で囲みを作った例。シルエットで表現するとドラマティックな印象を与えることができる。【L】は、囲み構図の効果を最大限に引き出した作品だろう。囲みの部分を小さくしたことで、静寂のイメージがより強調されている。

【J】『忘却の彼方で』(作者:田口 昇明)

画面上に囲みを作ることで、囲みの内側を強調することができる。見た人の視線は自然と、囲みの中心へ導かれていく

【K】『雨の旅』(作者:依田 健一)

明暗差を利用して、囲みを作った例。シルエットで表現すると、ドラマティックな印象を与えるこがもできる

【L】マイナビニュース賞 『窓』(作者:東京 雨)

構図の力で、まるで絵画のような美しい1枚に仕上げられている

リズム要素と中央1点構図

連続性のある被写体をリズムよく配置すると、画面全体に統一感が生まれると同時に、洗練された印象を与えることもある。逆に、中央1点に被写体を配置する構図は、被写体の存在感を高める効果がある。よく構図の悪い例として「日の丸構図」が挙げられることがある。これはフォーカスポイントが中央にあるカメラの機種が多く、無意識のうちに被写体を中央に配置してしまい、余計なものが写り込んだ写真のことを指している。メインになる被写体の大きさと、その周囲まで意識して構成すれば、日の丸構図も悪くない。うまく使えば作画意図が伝わりやすい構図となる。

【M】の作品は、外国の横断歩道だろうか? 白と黒の横断歩道に丸が組み合わされて、画面全体がデザインされたような印象を与える。奥の女性の脚が、パターン構図で流れがちな視線の動きを止める役割を持っている。【N】の作品は、道中での1コマを捉えたもの。目的地へ向かうキップを手にした女の子の表情は、電車を待ちながらなにを想っているのだろうか? と見る人を惹きつける魅力がある。

【M】『立ち止まりたい横断歩道』(作者:柏木 和彦)

同じパターンを繰り返し画面を構成しているリズム構図。白と黒のリズムが美しい

【N】『これ、なぁに?』(作者:斉場 俊之)

被写体を中央に配置する中央一点構図。周りに余計なものが写りこまないように気をつけよう

柔らかい印象になる曲線を配置した構図

四角いフレームの中に、曲線を配置すると、画面全体に柔らかい印象を与えることができる。曲線には、海岸線や山の稜線などの自然物から、ワインディングロードや橋のような人工物まで、たくさん見つけることができるはずだ。曲線のパターンには、緩やかに描く弧、変化に富んだS字など色々ある。ユニークな曲線を見つけ出すことが、曲線構図のポイントになる。曲線を囲み構図や対角線構図などの基本構図を組み合わせて、美しい画面構成を考えてみよう。

【O】の作品は、線路のS字を画面に取り入れることで、力強いSLが柔らかい印象になった。主要被写体を小さく入れることで、周りの風景と調和させている。【P】の写真は、ジャンクションを広角レンズで撮影し、パースを強調。巨大人工物が縦横無尽に伸びていくような印象を与えている

【O】『勇姿』(作者:今泉 徹)

線路のS字を手前に入れることで、鉄の道なのに柔らかい印象を与えている

【P】
パースを付けて曲線を強調することで、ジャンクションが生きているかのように表現している。

路上スナップでは肖像権に気をつけよう

最後に、「道」というテーマについて考えてみたいと思う。写真のジャンルの中にスナップ撮影がある。とくに路上スナップは、目の前に予想外の被写体が現れるという面白さがあり、多くの写真家を魅了してきた。しかし、昨今は肖像権が厳しくなり、スナップ撮影が難しい時代になってきている。

肖像権とは、「意志に反してその容ぼうなどを撮影・描画されない権利」と「撮影・描画された肖像を、意志に反して公表されない権利」という2つの権利のこと。後者の「公表されない権利」とは、ブログの掲載やコンテストの応募などを指している。路上スナップは、表現の自由と肖像権の紙一重の難しい問題を含んでいるのも事実。以前に書いた「写真撮影とブログのマナー」では、肖像権について詳しく解説されているので、トラブルを避けるためにも参考にしてほしい。また、日本写真家協会による「スナップ写真のルールとマナー (朝日新書 063)」も、ぜひ参考にされるといいだろう。

『箱根登山鉄道』(作者:中島 秀子)スナップ撮影では、肖像権など気をつけて撮影しよう。通学路を、第4回テーマの『旅』として捉えた視点は面白い。小さな子どもにとっては、通学路もちょっとした冒険かもしれない

人生の節々にある新たな門出。バージンロードを見送る父親の後ろ姿が印象的だ

人が通れないような隙間でも、猫にとっては立派な道だ。周りを見渡せば、魅力的な被写体はたくさんあるはずだ

作例・まとめ:加藤真貴子(WINDY Co.)

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(マイナビニュース 広告企画)

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